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宝石

2009.01.03(01:37)

 光はその向こうで異様な屈折をくりかえし、僕の視界からあっけなく消えていく。瞬く間のできごとに価値を見いだせるほどの強さもなく、ただうろたえていた。僕の歯がゆい部分は僕のすべてだ。僕は僕のすべての散文を呪い、それをすり鉢のなかに入れ、ひとつひとつが無意味な音韻になるまでくだいていく。
 赤い髪の女が馬上で嘶き、馬は人語で僕に道を尋ねる。たとえばそれは光の行く先を訊いているのだが、そんなことを知るはずもない僕は赤い髪の女にていねいに道を教える。盗賊は百人の女を買っていった。でもあんたは言葉がしゃべれないから注意したほうがいい。盗賊は沈黙をきらう。馬はにやっと笑い、僕はとてつもなく愉快な気持ちになった。
 幽霊はドアをノックした。川で溺れた女の子だった。魚を捕まえたと言っていたが野菜くずだった。レストランでお食事を。ありあわせの服をつくろい、僕の家の幽霊と一緒に彼女はでかけていく。
 ほとんどの事象は嘘にすぎない。僕らは嘘にたいして嘘をつき、だんだんとそれをさびしがっていく。重ねられた花束は火にくべられ、落ちかけた太陽の写真を撮り部屋に飾る。あてのない未来は嘘つきな過去で、過去だけがたおやかな手をさしだし地面よりも深いところに落ちていく。二番目と三番目の男がやってきて僕に言う。あんたは四番目だよ。見慣れない宝石が高いところで光っていて七番目の男はそれ欲しさに絶食をしている。けれど誰もそれが夜空の星だということを七番目に教えてやることはしない。誰かが勝手にルールを敷いた。おまえは死んでいてあいつはまだ生きている。おまえはあいつに嘘をつきそいつには嘘をつかない。唯々諾々と僕らは従い、そのうちに首の絞めあいをする。それはひどくつまらない。まるで赤ん坊を湯船に浮かべているみたいだ。





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