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血吸い貝

2009.01.05(01:43)

 桃のような淡い記憶のなかにいたのは髪をふたつに結んだ少女で、彼女は私の肩越しにものごとの細部を語ってくれた。グロテスクに湿った甲虫が這う枯れた森のなかの小さな木のこと、汚いみすぼらしい友達が彼女の胸をつかんではなさずうなじや耳にざらついた息を吐きつづけていたこと、おたがいの爪のあいだにつまった泥を尖った葉でとりあったとき彼女の手のひらに腐った柘榴のようになった肉を見つけたこと、木の枝でその皮を破り黄色く混濁した膿を腕から滴らせ吸ってと懇願してきたときのこと、体温になった茂みのなか、杭を一本一本抜くようなやりかただった。炬燵のなかで私と彼女の足がふれあい、ストーブの上で湯気を吹く薬缶を見ているうち、私はうとうとと不愉快になってきた。気づくと青い座布団に私の唾液がたれていた。彼女は私のぶんの砂糖菓子を食べおえ、名残惜しそうに自分の指を吸い桜色の唇を舐めまわしている中途だった。何か言ったと私は訊ねたが彼女はそれについては答えず、高い蛍光灯の光で厚く光る指を私のセーターで拭い、甲虫をとりにいきましょうと笑った。





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