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子宮の裏側から見る風景

2009.08.23(18:23)

おまえの名前を知らなかった
名前を知らないおまえが「女の子だよ」と名乗ったそれも知らなかった
知らないおまえが「女の子」を名乗るそういう時代を好きだった
生まれてきたことがうれしかった
あとはすべて悲しかった

血液の森を探す。握りたい手はもう白骨になり、かつてペン先のようだったおまえの舌は垂れさがり、甘い汁のまわりで俺の妄想が孵化を始める。幸せだと言った次の日に首を吊るから雨が降ったのだと思う。果実のようになった首の隙間からタールのような幸福がぴたぴたと落ちていた。

疑問は氷に漬けて、墓の前に添えた。

「おまえの首は誰のものだったか?」
「おまえの名前はおまえの首ついていたのか?」
「おまえの首は死ぬ権利を持っていたのか?」
「手が汚い」
「臭い」
「堪えがたく臭い」
「おまえの女の子より臭い」
「人間より臭い」
「臭い隙間から臭さがあふれる」
「人間より臭い」
「死んだほうがましだ」
「臭い」

いったいどんな女の子が手のひらのなかで眠れるというんだろう。あらゆる手のあらゆる肉が女の子のあらゆる極地を熟すのを見たとき、俺の眼球は確かに天使だった。

汚した、凍った、
汚れた部分を冷凍して遥か未来、
子宮が破け俺が飛びだす未来まで、
冷凍して、保存したんだ…

仮縫いのまま放っておかれた俺の手と首の境目から、しとしとと雨が降りはじめる。それは赤い花だ。赤い花のエキスと赤光が階段まで沈める。写真家は逃亡し、地平線は動物の顎にはさまれ死にかけている。

望まれて生まれた、それだけが、
うれしかった、
あとは悲しかったんだ、
生きたくないほど、
悲しかったんだ…

女の子の手が頼りない首を絞めた。まるで俺の所有物みたいな物言いだ。首を絞めるのに飽きると死ぬふりをする。だから、部屋の四隅が緑色に光るのにも気づかない。ここは俺の部屋なんだ。洋服は一枚残らず捨ててしまったけれど、おまえが認めてくれた俺の部屋だ。
だから俺、おまえが首を絞めるのをずっと眺めているよ。げえげえと虫を吐きだしたらそれをきちんと殺してやるよ。殺虫剤を買ってきた。たりないものを俺に教え、俺の手のひらに金貨をのせてくれ。そうしたら俺の足は真っ当に動くだろう。おまえの小指の奥につまったその秘密を映写させてくれ。おまえのために俺はカーテンを開けておくよ。でもそれだとおまえが風邪をひくからって、真夜中に夜露に濡れた熊がやってくるんだ。こりこり鍵をこじあけ、カーテンをそっと閉めていくんだ。邪魔で知恵遅れだけれど、やさしいやさしい熊なんだ。

おまえの背中に湿布を貼り、
おまえが絞めやすいよう、
ロープの先っちょを持っているよ。
俺はおまえの写真家だよ、
おまえが死ぬ間際の写真を、
誰よりも美しく撮れる最愛のひとだよ。
俺はおまえの横顔を愛しているよ、
その写真を必要なひとに見せることができる、
唯一のひとだよ。
俺はおまえを愛しているよ、
だから俺はおまえを熊にまかせ、
いつまでも、いつまでも、
おまえの前にぶらさがっているよ。





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