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「靴裏に書きちらされた歌」より

2009.05.23(18:34)

死の時には私が仰向かんことを!
この小さな顎が、小さい上にも小さくならんことを!
それよ、私は私が感じ得なかったことのために
罰されて、死は来たるものと思うゆゑ。
あゝ、その時私の仰向かんことを!
せめてその時、私も、すべてを感ずる者であらんことを!
                     
                        中原中也






<戦争篇>

誰かが戦争をはじめた
はじまるまえ白みがかった空を見上げ
戦争がはじまるなら
女の子があたしを
好きに
なってくれる
ように思っていた
戦争にくらべれば
女の子があたしを好きになることなんて
なんでもないこと
のように思っていた
そうではなかった
愛されることは
戦争されるよりむつかしかった
弾丸のチェックは入念に行います
ミサイルがどこに落ちるか
それだけに興味があります
死者を数えるのが好きです
お手紙として書きます
名前と死因をひとつひとつ書いて
太宰治   入水自殺
中原中也  結核性脳膜炎
萩原朔太郎 肺炎
ランボオ  骨肉腫
きみ    恥ずかしいから死んだ
以上5名
瓶詰にして海に流した
どこに流れつくのか
見当もつかなかった
あたしの上に乗りつける男は
とにかく流せばよろしいとおっしゃる
気が、ついた
この方が戦争をはじめたのだ
あたしが誰かに愛されるようにと
この方が戦争を開始されたのだ
おかげで好きな人ができました
あたしの好きな人は毎日飛行機に乗り
毎日堕ちていきます
くりかえしくりかえし堕ちて
やがて恋する人がいなくなる
窓に恋する人の名前を書きました
きみ
恥ずかしいから、死んだ




<妄想篇>

にんげんを殺したいと思うにんげんになりたい
他人にやさしくありたいと思うにんげんではなく
他人にやさしいにんげんになりたい
他人にやさしくてけれど他人を殺したいにんげん
になりたい
かなしいにんげんを目の前にかなしくなるにんげんになりたい
地球の意味を考えるまえにキスをする意味を考えたい
悲劇に似た喜劇をはじめからやりなおしたい
きみが密室のようにつくったその文章が隙間だらけだってこと
ちゃんと伝えたい
水に流して殺した蟻たちを助けたい
飢えたらいおんの隣に座り草をぶちぶちぶちちぎり
お腹が空いたねって笑いたい
きみのために鏡を
あたしのためでなく
薔薇の枯れるを真剣に思うきみがために鏡を買いたい
なにひとつきみがわからなくてもきみのそばに
いることができるにんげんになりたい
いらいらした朝に紙で指を切り
瑣末なことがどうでもよくなりたい
きみの頭のなかの理論を一緒に解いて
その答をまちがうにんげんになりたい
傘の上に降り積もる雪のような愛についての秘密を持ち
死ぬ間際にきみにそれを言うことのできるにんげん
になりたい
きみの
お腹を空かせることのできるにんげんになりたい
誰かをかなしくさせるにんげんになりたい
青い空の下でもじゅうぶん発狂できるにんげんになりたい
現象と人間を区別できるにんげんになりたい
男の子と女の子を区別できるにんげんになりたい
感情と指先を区別できるにんげん
になりたい
幸せだと言うことがそのまま幸せを意味するにんげんになりたい
きみではないにんげんになりたい




<対話篇>

せっかくだから
かわいい女の子をすばやくナイフで刺そう
月明かりの晩にかわいい女の子をかわいくナイフで刺そう
体制があたしを捕まえるのが先か
誰かがあたしを好きになるのが先か
そういう競争がしたいけど
誰も殺したくなんかないから
それすらできず
また女の子に愛してもらう機会を
失って
かわいそうなんかじゃなく
目のある賭けであって
ちゃんとしっかり女の子を殺せば
ちゃんとしっかり
誰かがあたしを愛してくれるはずなのに
その誰かがあたしと出会うやりかたが
あたしにも
その誰かにもなくって
だから詩を書いてるんだよって
だれにも、だれにも
言えないけど
戦争や愛を前提とすると
愛される手段として
女の子を殺すしかなく
その想像力の貧困さによって
いつも泣けなくて
体制につかまえて欲しいんだ
って気づく一瞬の毎日が過ぎて
ゆくなか
殺したくはないけれど
愛されたいってすごく健全だから
誰からも相手にされなくなって
誰も相手にしなくなって
それだけがいやだから
月夜にまたがり
女の子を殺しに
ゆく
あたしが殺してる瞬間
その子は縁側で線香花火をしていて
それがきれいで
ちょうど三日月で
その子のことを思いながら
べつの女の子を殺し
けれどあたしはその子のことを知らないから
その子の顔とか
仕草とか
ちゃんと想像できなくて
しかたないから
今殺している女の子が
あとであたしを好きになってくれる女の子だと
錯覚、してしまって
だめんなっちゃうから
想像力を強く持って
女の子をちゃんと殺そう
目の前の女の子は決してあたしを好きじゃなく
もっと離れたおうちで
ぺちぺちと蚊をつぶしている女の子が
いつかあたしを好きになってくれる女の子だと
ちゃんと想像して
月夜の晩に
女の子を殺しにいこう





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