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きみの持つ金槌の幽霊

2010.04.27(23:10)

わたしは血に飢えたただの老婆だった。穴を掘り、じゃがいもを探してばかりいた。北国には犬が住んでいた。わたしは犬を、よくは知らなかった。犬のかたちをした雪ばかりが降りつもって、わたしはだから、犬を一度も見たことがなかった。たとえば青はわたしの証明だった。たとえば赤はきみの従順だった。肖像がわたしの変革だったならば、きみはわたしの下半身から流れる月だろう。わたしはいつ、きみのドアに雨を降らせればいいのだろう。戸口の雨漏りをふさぎたかった。きみの持つ金槌の幽霊になりたかった。

(反転(たとえとしての

ゆくゆくはピアノだろう。たとえば青はわたしの物音だろう。ならば赤は犬をひっくりかえした先にあるひとつの天災だろう。
さあ、借金ばかり降りつもったわたしの温度差、恋愛のふりをした月たちがわたしの口を覆うだろう。新鮮な空気はわたしの生贄としての存在を生きるだろうか。東京は街として回転し、わたしはいつまで時間をはかればいいんだろうか。電子レンジのなかでミルクが凍え、わたしはわたしの指の焦げ具合を気にしていた。いつきみに会えるだろう。いつわたしはきみの樹木になれるだろう。わたしのもとに枝を持っておいで。わたしはそれをやさしく電子レンジにいれておいてあげよう。きみのために。たったひとりだけの夜のきみのために。

(非反転(転向としての

存在証明が見透かされ、サランラップが雪のように降りつもる。わたしはきみの花だ。そしてきみはわたしの靴裏だ。やがてスリッパがひとの頭を踏みつぶすならば、わたしはその時間までしっとりと牢獄を濡らしてすごそう。かたいパンをわたしの鉄にしてくれ。冷えた塩水をわたしの体温にしてくれ。わたしの食器はきみのげろの下で南国の桜になるだろう。根っこの下にあぶなかった橋を埋め、わたしはきみがわたるのをそっと眺めていた。きみはわたしの下半身に住んでいた。きみの唇からは魂が漏れていた。ならばわたしは?

(もう(もどってこれない

いいえ、それはたとえだった。きみの屋根裏にわたしが住むのなら、きみはわたしの下半身の家賃をはらうべきだろう。わたしはきみのためにきみのこころのなかにとりたてにいこう。きみが罪悪感を抱かないように。いっしょの畑で麦を狩ろう。鴉を撃ちころし、癲癇を起こしたにんげんみたいな案山子をつくろう。わたしの根元を掘ってくれ。きみのシャベルで掘ってくれ。ゆっくりと愛を育んでくれ。きみの髪の毛はまだ腐ってはいない。わたしはただの村だった。きみが落ちる滝つぼのなかのふくよかな村だった。目が見えない。わたしの眼球の裏をきみたちの太腿が鯉のように泳いでいた。うらぶれた給食当番のように、わたしはきみの唇から漏れでるものを拾いあつめよう。それは銅貨のように光り、わたしの手を焼くだろう。わたしはそれをきみに返すためにきみの夜になった。じゃこのように降る星空のもと、わたしはきみのそれを見つめた。わたしの手のひらから煙があがり、それは一通の手紙を届けるための夜明かりだ。ティッシュペーパーのような音楽だ。わたしはきみの白糸になりたい。きみがかつてそうであったとわたしに見えるような、きみの蝿のかたちをした白糸。もう手のひらにきみの名前を刻んだろうか。わたしはその名前を舐めにいく。たとえきみがわたしの眼球を踏みしめる時間を恋人とともにすごすなら、わたしはきみの名前を舐めにいく。金槌を持って。





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