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とおり雨のかたち

2012.03.21(20:12)

ただたんに 植物がわたしの頭上に降りそそいでいる
 外界は わたしの延長であってくれただろうか
脳味噌のなかに凍りついた猿がいて
  赤い月の門へ銃口をさしいれている
椅子を用意したのだけれど  きみは食べてしまった
松明をつくったのだけれど  きみは笑ってしまった
物乞いをさしいれたのだけれど きみは金貨を放ってしまった
 巻かれた包帯のしたに 親の顔がはりついていてとれない

(幕間…点線を誓う

宇宙がまだ寂しかったころ
 僕たちはこの惑星にやってきた
人類はいまだ石を食べていた 民族は仮面をかぶり
愛はやさしさと同義でしかなかった 月面におもかげを思い
 氷を口にふくんではよだれをたらしていた
ひとそろいの軍靴だけで革命を願った
 噴水広場の首吊り役人たちは夏が好きだ
 そして僕はつまり彼らを愛している
貴族たちが奴隷の口を花で壊している
  他愛のないことだと民衆は絵画をつくり
6月 春を殺害した夏がやってくる

(転換…季節とは城である

少女は家のなかでだけ斧を持ちえていた
 星屑でべとついた指先を舐めながら
きらいな男子生徒の影を殺している
どうしてわたしはこんなにもなにもかもがきらいなんだろう
こんなになにもかもをきらいすぎていながら
 これからどうやって生きていけばいいんだろう
少女の顔には切りとり線が刻まれている
 鼻のてっぺんからあごをまわり
  うららかな薔薇の後頭部でぴったりと重なる
「ちょき ちょき …」
 父親は寝台のなかでそうつぶやく
朝のかたわらで光るたまごのかたちに似ながら
  少女は父親のただしさを確信している
「いつかわたしの御胸に」
「石の時代に到来したひとびととおなじひとびとが」
「やってくるだろう … 彼らは鍬を持ち」
「わたしのこころを開墾するだろう」
  男子生徒の影が少女の扉の影をたたき
   ふるえながら声の影をつぶやく
 僕はきみのことがただたんに心配なんだよ
薄暗い廊下の遙か彼方から光が射している
 時間は静止し 彼の頭上にはただたんに植物が降りそそいでいる
その罪を知らしめてやろうか
 斧ではなく 瓶づめにされた虫けらの吐息で

(うららかな創世記…宇宙にて

星々の合間をゆっくりとした足どりで
 いっぴきの動物が流れている
  動物はこの宇宙でたったひとり
少女のこころを食べるために生まれた
 扉をたたく音に 顔面にはりついた切りとり線に おびえながら
少女はそれを意識してやまない
  生きていてよかった!
こころの部分が食べられるたび
 少女は歓喜に身をふるわせながら床に接吻をする
少女にとって宇宙を流れる動物だけが影ではなかった
 そしてその動物の存在を 父親も男子生徒も知らないという
そのいってんだけが 少女をこの世界において救われるにたるものと
  断定していた 動物はいまこの宇宙がはじまって以来の
回転をこころみている 少女は動物を応援しない
 なにも期待をかけない ただたんに降りそそぐ植物だけが
少女の指先の明るさをたもっている
  わたしはそのただしさになんらかの意味をあたえただろうか
寝台が乱れてはばらばらになって飛んでいく
 宇宙はこの惑星の死者たちでいっぱいだ
だからひとは死体を焼く 灰になって すこしでも
  その容量のかなしさに耐えられるように
 宇宙はこの惑星の死者たちでいっぱいだ
「ひとかけらのパンをくれ」
 ぬかるんだ唇で
  宇宙からやってきた物乞いが言う
物乞いの瞳は暗く 少女はこころのなかで燃える星に耐えられない
 ぎりぎりのやさしさでもって少女は泣いた
まだ守るものすらなく まだ殺すものすらない手のひらで
   少女は泣いていた
これがわたしにのこされたたったひとつのパンだ
 少女は切りとり線にそってゆっくりと顔の上半分をはずし
物乞いに捧ぐ 少女は死んでいる
 男子生徒の影は扉をたたきつづけ
  父親は寝台のなかでちょきちょきとつぶやきつづけ
   少女はいまだ死につづけ
 物乞いはただたんに植物を降らせている
動物が流れた線にそって
  宇宙にやさしい雨が降っている
 太陽の光を受け やさしい雨はやさしさをたもちながら輝き
およそ永遠を呼びつづけながらなお 降りつづいている





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