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屋上のへりにたった自殺志願者

2014.01.05(05:17)

ナイン・ストーリーズナイン・ストーリーズ
(2013/08/29)
佐藤 友哉

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 1月1日(水)

 ジェイ・マキナニー「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」を読みかえした。サリンジャーめいたやさしさがでてくるところだけが、ちょっとよかった。


 1月2日(木)

 親戚の家にいった。友達とお酒を飲んだ。


 1月3日(金)

 ノヴァーリス「青い花」を読みはじめた。それから佐藤友哉「ナイン・ストーリーズ」を読んだ。「憂い男」や「コードウェイナー・スミスの青の時代」のような、プロットをなぞっただけといった感じのひどい作品もまざっているけれど、わたしがいままで読んだ佐藤友哉の小説のなかではいちばんよかったと思う。佐藤友哉は小説を書くことができない小説家だと思っていて、きっと、世界には小説を書くことができる小説家よりも小説を書くことができない小説家のほうがおおいから、その意味で、彼は捨て身の英雄のように見えていた。問題は、小説を書くことができない小説家が書く小説はけっきょくのところ稚拙でおもしろくはない、ということで、だから、わたしは佐藤友哉の小説をおもしろいと感じたことがいちどもなかった。佐藤友哉の小説世界はなにもないというところからはじまっているように見える。彼にとって小説はほとんどがらくたでしかなく、彼はそしてそれをがらくたとして模倣しているように見える。小説を書いているひとにとって小説というものががらくただということはほとんど自明だとわたしは思っているけれど、それでも、それをがらくたとして模倣するのはむずかしいと思う。なぜなら、わたしたちはわたしたちが好きなものやわたしたちが書いているものをがらくたとしてうけいれることにうまく耐えられないからだ。だから、わたしたちはそれをがらくたではないものとしてあつかう。佐藤友哉は小説をがらくたとしてあつかうその耐えられない場所で描いているように見える。だから、問題はがらくたとしてありえ、そして佐藤友哉ががらくたとして描いたその小説のなかのものをどれだけ愛することができるか、ということに帰着せざるをえない。けれど、それはほんとうは小説の夢なんだと思う。
 この小説に、小説の技法としてのパロディ・オマージュの価値を見つけるのはむずかしい。おそらく、佐藤友哉はそもそもサリンジャーを模倣するということについてなんらかの批評性を持ってこの小説を書いたわけではないだろう。だから、この小説は、純粋に小説としてサリンジャーが描いた「ナイン・ストーリーズ」にたいしてなにひとつすぐれたところを持ちえないと思う。サリンジャー「ナイン・ストーリーズ」のほうがはるかにすばらしい、けれど、わたしは佐藤友哉「ナイン・ストいーリーズ」を、くずだ、というひとことでかたづけてしまいたい気持ちにはどうしてもなれない。


 佐奈は弥生の目の前でドアを思いきり閉め、蹴った。すさまじい音が響く。もう一度蹴ろうと脚をふると、靴ひもが切れて上靴がすっぽりと抜けた。それはスイッチにぶつかり、教室は一瞬にして闇に支配された。佐奈は何も感じなかった。何も感じられなかった。それでもふたたび涙があふれてきた。佐奈は流れる涙をぬぐいもせず立ちつくしていた。暗闇の中で一人、立っていた。


 ほんとうに、ほんとうに、佐藤友哉は文章がへただと思う。「すさまじい音が響く。」という文章をまともな小説家が書くはずがなく、「佐奈は何も感じなかった。何も感じられなかった。」、「佐奈は流れる涙をぬぐいもせず立ちつくしていた。暗闇の中で一人、立っていた。」といったような、おなじような意味あいのことをくりかえしそのことで効果をあげようとする手法もあまりにも稚拙だと思う。わたしはこの小説をたぶん愛せない。それでも「私のひょろひょろお兄ちゃん」のなかに存在するがらくただらけの世界からにじみでたがらくたとしての感情に、なにかを思うことはできるような気持ちがした。
 それはたぶん、この模倣のやりかたが、サリンジャーを消費するようなやりかただからだと思う。この小説は書かれることによってなにかをけずられるようなありかたをしている。だから、そのときわたしたちは「ニュークリア・エイジ」の主人公とおなじように、最終的な愛を問題にせざるをえない。もはや、そこに肯定的な救いはなにもないのだから。
 屋上のへりにたった自殺志願者にたいして、わたしたちは「あなたを愛している」という言葉でもってとめることができるのか、この小説が問うているのは、そういうことだと思う。
 それでも、わたしはぜったいにとめないだろう。




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【2014/01/08 00:18】 | # | [edit]
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