- 2008-02-07(木)
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僕のなかで青山真治監督の最高傑作は『ユリイカ』であり、また、世間で言われている代表作も『ユリイカ』であることも間違いないと思う。でも、『シェイディー・グローヴ』という作品もまた、傑作だと思った。『ユリイカ』をのぞけば青山真治監督の最高傑作だと思った。
『シェイディー・グローヴ』はおそらく『冷たい血』の延長上にある映画だと思う。『冷たい血』を僕はあまり好きにはなれなかった。あの映画はとても泥臭い感じがした。ひとつの趣味の話として、僕は泥臭い映画があまり好きではないような気がする。『冷たい血』がたとえば村上龍だったら、『シェイディー・グローヴ』は村上春樹に近いような気がした。だから僕はとても安らかな気持ちで見ることができたし、同時に不思議なわだかまりのようなものが残ることになった。でも、それはこの映画を否定したいから言っているんじゃない。僕は、ただ、肯定したいだけです。
この映画は、映像の映画ではなく、音の映画だと思う。「音」というのは、たとえば、主人公を演じるARATAのつぶやきだったり、挿入される不可思議な音楽だったり、する。
「音」というものを映画のなかで前面に押しだすのは、たぶん、難しい。青山真治は『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』でそういうことをやろうと思ったのかもしれないけれど、『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』は僕から見れば、失敗した作品だった。つまらないと言いたいわけじゃない。あれは愛しい失敗作品だと思う。
現代に存在する「映画」という環境で、音に真っ向から向かうのは難しい。だから、僕は『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』よりも『嫌われ松子の一生』のほうが好きだと思ってしまう。『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』は失敗したけれど、『嫌われ松子』はにんまりと笑って成功した。
青山真治は『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の6年前に『シェイディー・グローヴ』を撮っていた。『シェイディー・グローヴ』を撮ったあとに『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』を撮る必要はないとつい思ってしまうけれど、でも、やっぱり『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』には僕の感じることのできなかった何かがあったのかもしれない。
『シェイディー・グローヴ』には、いきなり哲学を語りだす警備員のおじいさんがでてきた。それは、まるでゴダールの『男と女のいる舗道』みたいだった。僕はこういう映画が好きなんだとあらためて知れた。



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