スポンサーサイト

--.--.--(--:--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





スポンサー広告 トラックバック(-) | コメント(-) | [EDIT]

きみ、愛すれば

2008.10.26(00:52)

エドワードII(セカンド)エドワードII(セカンド)
(2000/08/25)
スティーヴン・ウォーディントンアンドリュー・ティアナン

商品詳細を見る

 金曜日の夜は研究室で飲み会だった。お酒にはそんなに強くなくていつもあまり飲まないのだけれど、その日はそれはもう調子に乗ってたくさん飲んだ。甘いライチ酒を割って(割っても甘い。甘くておいしい)ひたすら飲み、それがなくなると普段はまず飲まない焼酎とワインと日本酒を飲みはじめた。
「これは明日吐くなあ」
 そう覚悟しながら飲み、二時過ぎに解散した。それから三時過ぎまでうだうだやり、もう寝ようとベッドに入った。でもときどきそうであるようにうまく眠れなかった。低温で不均一な気持ち悪さがお腹の奥底に横たわりつづけ、吐くほどではないけれど、ひどく不快だった。
 気がつくと朝を迎えていた。コンビニまで行ってさわやかな(女子)高校生たちがおそらく部活へ向かっていく頃、のっそりコンビニに入って「ウコンの力」や「ヨーグルト」などなんとなく気持ち悪さを消し去ってくれそうなものを買った。早く死にたいと思った。
 飲み会のあいだ、そのコンビニに「水槽あるよねー。熱帯魚みたいの飼ってるよねー。え、でもさでもさ、あの魚絶対死ぬよねー」と話していたところ、その翌朝には水槽の中身が見えないように大きな張り紙がしてあって「閉鎖中」とかなんとか書かれていた。たぶんそれをはがしたら魚が腹向けて死んでいるんだろうと思った。
「ウコンの力」を飲んだら気持ちわるさがなくなった。これはすごい、感動のあまり、お昼前から夜7時まで寝た。早く死んだほうがいいのではないかと思った。

   ◇◇◇

 学校に行って映画を見てこようと思いたち、その前にスーパーに寄るが、レジをうってもらった直後に財布を部屋に忘れたことが発覚する。もうなんでもいいから早く死んだほうがいいのではと思った。買ったものが少なくて本当に良かった。あともうちょっと買っていたら死んでいた。
 瀕死の体で学校に着いてデレク・ジャーマン「エドワードⅡ」を見る。原作が戯曲なのだが、映画も演劇調で人物の台詞がいちいちかっこういい。ジャーマンと言えばゲイ映画であるが、エドワード王ももちろんゲイで、后をほうっておいて美形の男を寵愛しまくっていたら貴族に怒られてあれこれされてしまう話だ。もやがかかったような映像とドラマティックな照明が美しく、しかもジャーマンの映画のくせにストーリーが理解できるというおまけまでついている。これは傑作だ。とりわけ、国を追放された王の愛人(男)が門から外へ出るとき、聖職者たちが彼の歩く道に次々に唾を吐いていくシーンはすばらしかった。
 エドワード王は部下に、
「何故みなが嫌う男を愛する?」
 と訊かれ、こう答える。
「彼だけが私を愛してくれるからだ」
 エドワード王の狂気を否定することはできないけれど、それと同時に、やはり后をはじめとする貴族たちの狂気を否定できない。エドワード王が言ったことは彼にしてみれば真実だっただろう。そしてそれが真実であるかぎり、「自分を唯一愛してくれ、だからこそ自分が唯一愛する男」を追放しようとする貴族たちを彼が理解することはできなかった。
 愛と狂気と孤独は、少なくてもそれが劇的であれば、狂おしいほどに似てしまう。それが「悲劇」だ。




コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://kizuki39.blog99.fc2.com/tb.php/408-9a44e12f
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。