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馬を牽く人

2009.01.20(00:28)

 最近まじめな日記(まじめだよね!?)ばっかり書いているから、こんなこと書いてるとあたし自身いろいろ問題あると思うし、何よりネタもうないし、ああいうのは遊びだし、「まじめだね」と言われてもちっともうれしくはないあたしだし、だから、もう書くのはちょっとお休みにして、せいいっぱい、ふまじめなことを書こう!
 朝11時に岩波ホールまでアブラゼ監督「懺悔」を見にいったら、冗談なしでおじいちゃんおばあちゃんしかいなくて、若い人はあたしだけで、しかもスーツなんて着ていたものだから「ああ、この人はこんな若い身空でもう朝から会社さぼってこんなところに来ちゃって、人生に病んでるんだね」と思われたに違いないくあたし恥ずかしかった。ところで、岩波ホールに来ているおじいちゃんおばあちゃんは全員教養人だとしか思えない会話をしていて、耳をすませば、神谷美恵子さんがどうしただの某文学部の教授がどうだの絵の個展を開いただの教養ぷりぷりの言葉ばかりが飛びこんできて「え? え?」ととまどってしまった。
「懺悔」はとてもおもしろかった。あたしはターセム「落下の王国」を「あれは芸術映画じゃない! 100%の娯楽映画だ!」と言いきってしまうぐらいの覚悟をもって「『懺悔』はファンタジーだ!」と言いたい。「懺悔」という映画は物語内物語内物語なんていう複雑(ではあるけれど実はべつに複雑じゃなかったざんす)な構造をしていて、「お墓に埋めたおじいちゃんの死体が毎朝じぶんちのお庭まで帰ってくる!」というホラーな展開から始まるし、夢のなかのシーンでへんな人が生で魚食っていたり(タルコスキーみたいだったね!)と実際話じたいがファンタジックではあるんだけれど、そうじゃなくて、たとえば墓場のあの「青」とか「緑」とかの圧倒的な色彩が、「ロード・オブ・ザ・リング」みたいなファンタジーよりもずっとファンタジーにしている。それは「色の再発見」と呼んでもいい行為で、「再発見」という行為はかんたんなようでいて難しく、たとえばあたしがけっこう好きな映画にゴダールの「軽蔑」という映画があるんだけれど、この映画は内容がどうとか言うよりもあそこに出てくる「黄色」という色のあまりのきれいさにくらくらしてほんとにそれだけで感動できてしまうのだ。「黄色ってこんな色だったんだ!」なんてまるで小学生みたいな文言だけれど、ほんとにほんと、「軽蔑」の黄色も、「懺悔」の青や緑も、そこにある種の色があるだけであたしは喜んでしまって、もちろん、色の存在だけで喜ばせることができるというのも、映画の持つパワーだと思う。

   ◇◇◇

 金井美恵子「文章教室」を少しだけ読んだ。金井美恵子というのは、「何百ページにも渡ってねちねちと同業者を知的にいじめる」という(たぶん)前人未到の試みをやっている人で、あたしはそれだけでもうこの人はほんとにすごい!と思ってしまって、そのねちねちっぷりを見たいなら今すぐ本屋に走って「文章教室」31ページの8章からちょろっと読んでみればよくて、そこには普通の小説家のあるべき姿、というのはつまり「ありふれた姿」が描かれていて、興味深いのは、金井美恵子はただ事実を羅列しているだけなのにはっきりとそれが嫌味になっているその圧倒的な文章テクニックにあって、でも、実はあたしにはその文章テクニックなんてよくわからないから特に書きはしなくて、何を書けばいいと考えるにたぶん金井美恵子のことを書くには金井美恵子のスタンスを書いてみればよくて、つまり、金井美恵子はもちろん小説家を馬鹿にしていて、でもその馬鹿にされるというのは「頭が悪いから」ではなくて「頭を使っていないから」というだけかもしれないとあたしは読んでいるうちにふと思ってしまって、というのも、ここに書かれている小説家が思っていることはいかにも文学的な命題という感じがして、つまりそれは小説家が背負うべき宿命のように書かれていて、だから、逆説的に、それは「そのようなことを考えることが小説家としての自己を成りたたせている」んじゃなくて「そのようなことを考えることによって小説家としての自己を消滅させている」ということで、端的に言えば「ばーか! ばーか! あなたたちはいつまでもそんなこと考えているからばかなんだ!」というそれだけのことなんだけれど、あたしはじめ、ほとんどの小説家はたぶん「これは深いことなんだ!」と思いながらその小説家と同じこと考えている。くわばらくわばら。

   ◇◇◇

 明日も会社説明会で、そのついでに松本俊夫と、あとできれば森崎東を見てこよう。このあいだとうってかわって見たい映画がたくさんあるね! 明後日はひさしぶり(ほんとごめんなさい!)に学校に行くよ。あといくつかコメント、メッセージのお返事が滞っていてごめんなさい!

   ◇◇◇

 最近聴いた音楽

 
氷の世界氷の世界
(2006/10/04)
井上陽水

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 吉田拓郎もそうだけれど昔の日本のフォークはどうだったんだろう、と思って聴いたらすごく良くてそのまま陽水につっぱしった。あたしすばらしいと思った。「語り」ってなんじゃらほいと思ってたあたしだけれど、ばっちり効果的だね!

脳みそショートケーキ脳みそショートケーキ
(2007/07/07)
つしまみれ

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 「近所のTSUTAYAで借りられるなか限定! 現代の若手アーティストでもっとも前衛的なバンドをジャケットと名前だけで探そう!」をひとりで2分間大盛りあがりでやった結果見つかったのがこれ、うふふ、その手の勘であたしに狂いはなかった。音だけ聴いてればグランジっぽいのに、歌うといきなり80年代アニソン、もしくは現代のオタク系電波ソング。こういう歌はアートとして割りきっちゃったほうが楽なはずなのに、どうも歌っている側に微妙に照れがあるようにあたしには感じられてしまって、そこが超かわいい。ひとりで聴いている姿を誰にも見られたくないアルバム殿堂入りだけど。

ジャック・ジョンソンジャック・ジョンソン
(1999/05/21)
マイルス・デイヴィス

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「ジャズを聴かねばねば!」と思いこっそりギル・エヴァンスその他に挑戦しつづけそのたびに「???」と挫折を続けてきたあたしがついにこれなら聴けると確信を持ったアルバム! だってロックだもん。

   ◇◇◇

 最近読んだ本

リプレーの世界奇談集〈第2〉 (1959年)リプレーの世界奇談集〈第2〉 (1959年)
(1959)
ロバート・レロイ・リプレー

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コメント
『懺悔』、見たんですか、いいなあ。岩波ホール、へんに緊張しますよね。。 コメント、ありがとうございました^^
【2009/01/21 10:52】 | jeusupreme #s4Fw8DyQ | [edit]
「懺悔」はやはりすばらしかったです。空気がとても澄んでいる映画でした、お暇があればぜひぜひ。
岩波ホール、朝一で行ったのがまずかったのでしょうけれど、とても文化文化した施設だと感じました。これはもう受けいれるしか、ないのですけれど。
【2009/01/21 16:42】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
「文章教室」はまだ読んでいませんが、丸山健二「まだ見ぬ書き手へ」(朝日新聞社。1994年)がそれに近いんですかね?丸山の場合は「文学青年・中年・老人のバカ野郎」と挑発しているのですが。ただ、丸山の本はすぐ絶版になるのが難です(笑い)。
【2009/01/24 17:29】 | 上田洋一 #- | [edit]
僕が丸山健二の本を読んでいるわけがないので、詳細はわかりませんが、たぶんそんな感じです。金井美恵子の場合は自分の小説の登場人物を文体でねちねちいじめているだけだと思いますけれど。
【2009/01/25 19:09】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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