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にんげんになりたい

2009.02.16(23:07)

新潮 2008年 11月号 [雑誌]新潮 2008年 11月号 [雑誌]
(2008/10/07)
不明

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「新潮11月号」にのってる飯塚朝美「クロスフェーダーの曖昧な光」(第40回新潮新人賞)を今さら読んだ。あたしおもしろいと思った。これは純文学じゃなくてライトノベルなのだと思う、49ページ、「もう誰にも頼ることは出来ない。今夜中に、僕はあの境界を侵す。」という文章はライトノベルだとあたし思う。あたしがおもしろいと思うのは、本人が純文学と思って書いているだろうことをあたしが本気でライトノベルだと思ってしまう、そこに生じるグロテスクさだ。あたしがおかしいのかもしれない、飯塚朝美がおかしいのかもしれない、でもそこのずれが気持ちわるい。喜多ふあり「けちゃっぷ」をライトノベル的な文章だと書いている人を何人か見たけれど、あたしはそうは思わなかった。あたしはあの文章に全然ライトノベルを感じなかった。けれど白岩玄「空に唄う」を読んだときはあたしライトノベルを思った、「クロスフェーダーの曖昧な光」を読んだときも思った。怖いのは、白岩玄がライトノベル的なものによりそっているように書いていると思うのに対し、飯塚朝美がほんとに文学(いかにも文学的な文学)を書いているつもりでこれを書いていると思えることだ。登場人物の台詞のやりとりなんかほとんどミステリだ。それにも関わらず、この作品はやはり純文学的な純文学を志向している(でなければ三島「金閣寺」をモチーフにつかったりはしないだろう)。そこのところに生じるグロテスクを、あたし怖いと思う。
 鈴木並木さんが西川美和「ゆれる」(映画)に対し、「人間の心の奥底を描けていると監督が思いこんでいるだろうことが不愉快」(超意訳)とおっしゃっていて、あたしはあの映画はとてもおもしろく見て、けれど、それは、最初から「この映画エンタメだ」と思って見ていたから彼のおっしゃる「不愉快なこと」をやりすごすことができただけかもしれない。
 得体が知れなくなったなあ、とあたしは思う。百年前より、あたしたちにんげんは、とても、とっても頭が良くなってしまった。だからあたしたちはもう迂闊に人間を描けないのだ。あたしたちが人間を描こうとすると、それはライトノベルになっちゃうのだ。そしてライトノベルというのは、虚構に虚構を重ねてそこから「快楽」を抽出したものなのだ。「あたしたちが描く人間」と「虚構の快楽」は実はこんなにもかんたんに一致してしまう、あたしは何を書いているんだろう、と、ときどき思うのよ。




コメント
 なるほど。また、記事タイトルがよいですね。人間になりたいとは意味が深いですし、共感もしてしまいます。しかし人間は、どうしてこうも人間を描こうとするのでしょうね。人間になりたいという疑問は、人間というもの(概念)を見失っているとも取れるかと思います。人間が分からないから、人間のひな形を作り、それを人間の根拠に据えて、理解とするのでしょうかね。何事にも意味付けをしなければ、不安で仕方なくなるのは人間の性かもしれませんが、その方法では結局慰みでしないような気がします。自分は、しがない本読みですが、まがりなりにも探究してみたいですね。
 そういえば、そろそろ相互リンクさせてもらえませんか? もし宜しければですが、よろしくお願いします。
【2009/02/17 00:00】 | クマーラ #jNKWluxY | [edit]
生きているのは「生まれてしまった」からです。
きっとそれだけなのです。
生まれた瞬間に人間は人間であるのに、
人間は人間であるかとはどういうことかを、
考え続けます。
60億以上の具体的なものが存在するのに、
僕らは、それでもまだ抽象的な人間概念にすがりつこうとしています。
だからときどき馬鹿じゃないかと思うのです。
僕はべつに人間を研究したいとは思わないのですけれど、
それは、なんというか。

>  そういえば、そろそろ相互リンクさせてもらえませんか? もし宜しければですが、よろしくお願いします。

申しわけありませんが、思うところあって、相互リンクは現在すべてお断りしています。すみません。
【2009/02/18 17:36】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
>生きているのは「生まれてしまった」からです。

 同感です。

>思うところあって、相互リンクは現在すべてお断りしています。

 考えがあってのことであれば仕方ありませんね。きっぱり諦めますので、お気になさることなく。
【2009/02/18 19:25】 | クマーラ #jNKWluxY | [edit]
私はこれを読んで「久しぶりに新人賞で『小説』を読んだな」と思いました。どうもここ数年(いや、それよりずっと以前からか)、新人賞では「賞説」が多いような気がするのですよ。まあ、どの新人賞作家も主観的には「小説」を書こうとしているんでしょうがねえ。
ライトノベルかどうかという点については私はよく分かりません。何しろ、私の読んだライトノベルは西尾維新の「クビシメロマンチスト」ぐらいですから。・・・ゆうきりんの「オーパーツラブ」とか神坂一の「スレイヤーズ!」もライトノベルに含まれるんでしょうか?
【2009/02/21 16:44】 | 上田洋一 #- | [edit]
「賞説」が多いというのは、おもしろいですね。僕も新人賞をそんなに読んでいるわけではないですけれど、たとえば、喜多ふあり「けちゃっぷ」は、斎藤美奈子が「文藝賞狙いすぎだよ!」とつっこんでいました。そのとおりだと思いました。
ただ、ほんとに狙って書いている人というのはあんがい少ないのではないかと思います。結果的に編集部や選考委員が「それっぽい作品」を選んでいるだけなのでは、とも少し思います。「クロスフェーダー~」は例外かもしれませんね。

>ゆうきりんの「オーパーツラブ」とか神坂一の「スレイヤーズ!」もライトノベルに含まれるんでしょうか?

ゆうきりんはわかりませんが、「スレイヤーズ!」は含まれるのではないでしょうか。僕も読んだのは「ブギーポップ」、「ダブルブリッド」、秋山瑞人(この人は本当にすごいと思います)、西尾維新、あと適当なのをちょこちょこ読んだくらいで、詳しくはないのですけれど。
【2009/02/22 20:00】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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