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愛のむきだし

2009.02.22(01:47)

 園子温監督「愛のむきだし」をユーロスペースで見てきて、あたし、ふざけるなと思った。この映画は2008年のナンバーワンと言ってもいいぐらいだし、実際、あたしがここ数ヶ月で見た映画のなかでいちばんおもしろい映画には違いなく、後半のほう、目をぐしぐしやってたわけだけれど、それでも、こんなにだめな映画はないと思った。
 ものすごくかんたんに言えば、本谷有希子+舞城王太郎+エヴァンゲリオン+踊る大走査線みたいな感じの映画だった。そしてあたしはこの映画が2009年に公開されているのを不思議に思って、というのも、あたしはこの映画を「10年前に一部でカルト的人気を誇った映画が今スクリーンで再上映!」されているみたいだ、と感じてしまったからだ。この映画は、「エヴァ」があって、「踊る大走査線」があって、それから2000年に舞城王太郎がデビューするその前に、つくられるべきだったのではないかと、あたし思ってしまうのだ。
 この映画は、舞城王太郎をファンタジーにしてしまった。舞城とやっていることはたぶん違うのだけれど、でも、舞城が2000年以降愚直に書いていたことを、園子温は映画という形体でとても歪に表現してしまって、だから、彼は何かに幕をひいてしまったのだとあたし思う。映画にすべきじゃなかったんだ。奇妙なことは、10年の時代錯誤をひきうけまくったこの映画が今なおあたしたちの胸に迫ってくるということ、そしてまるで何か新しい前衛的な映画だと受けとめられていないだろうかということ、その危惧、違う違う、この映画は前衛ではなくって、なんというか、「前衛となるもの」ではなく「前衛に幕をひくもの」として、登場しちゃったんじゃないだろうか。舞城王太郎はこの映画によって終わらせられちゃったんじゃないだろうか。あたしには、ほんとには、よく、わかんないんだ。
 あたしはこの映画に終焉を感じただろうか、始まりを感じただろうか、いったい何が終わったんだろう、この映画が抱えこんでいる10年の時差ボケを、ほんとに誰もまともに考えなくていいんだろうか。
「エンターテインメント」をこの映画は謳った。ドストエフスキーの「罪と罰」を多くの人は「あれはミステリだ」と言う、そして幸いにも「罪と罰」は「ミステリだ」と呼ばれることで価値があがる。「愛のむきだし」は小説みたいに純文学とエンタメでむりやりにわけるとしたらおそらく純文学だろう、あたしが選考委員だったらこの映画に谷崎潤一郎賞をあげるわ、でもだからこそ、「エンターテインメント」と名乗ることは「逃げ」ではないのかとあたし思うのだ。きみが「純文学」を名乗ってくれればあたしは「これはただのエンターテインメント映画だよ。『踊る大走査線』にそっくりじゃないか」と堂々と褒めてあげられたのだ、でもきみがわざわざ「エンターテインメント」を名乗るからあたしは「この映画は純文学だよ」とけなさなくてはいけなくなる、きみよ、この悲しみを考えたことは、ほんとにないのだろうか。
「愛のむきだし」は後半のほうが感動する、泣ける、えぐえぐ泣ける(あたしは砂浜でヨーコがユウの手から逃げだし、もみあいになって、「なんとか書」の13章を語りだしたときがやばかったよ。あとラスト)けれど、ほんとはこの映画、前半のほうがおもしろいのだ。終盤、ユウがビルに攻めいったとき、アクション映画にすべきだったのだ。日本刀で黒服をばっさばっさと斬り殺しながら進み、最上階、ユウと洗脳されたヨーコ(でもコイケでも誰でもなんでもどうでもいいけど)が本気で斬りあえば良かったのだ、と思う。「カウボーイビバップ」を見るんだ!
 わからない、あたしはたぶんこの映画を侮辱してる、でもこの映画は最高におもしろく、最高に間違ってると思う。あたしはこの映画に納得されない、前衛なんてないのだ、あたしは、あたしが知るかぎりの人のなかでもっとも最先端でもっとも前衛な芸術をやってるのは、もしかしたら柴崎友香と岡田利規ではないかと、思うんだよ。それは社会の話だ、社会、ああ、なんてくだらないんだ!
 ということで、2月いっぱいまで最低やっているはずなので、今すぐ渋谷のユーロスペースまで行って「愛のむきだし」を見てこよう。そして、もしも見ていない人がいたら、そのあとに諏訪敦彦監督「2/デュオ」か「M/OTHER」を見てほしいと、あたし、こういう映画を見ると、どうしても思っちゃうんだよ。
 わかんないね、映画なんて、何がなんだか、ほんとうに、わからないや。

   ◇◇◇

 東京都写真美術館に行ってきた。「恵比寿映像祭」がとりあえず見たいものだらけで困ってしまっているのだけれど(まさかワン・ビン「鉄西区」が上映されるとは……が、見ることができない、就職活動のせいで見ることが、で、き、な、い!)、「愛のむきだし」のせいで時間があわず、とりあえず展示だけ見てきた。正直作品のチョイスが前衛すぎるのではとあたし思ったわ。無料なので、まあ、なんでも、いいのだけれど。アンディ・ウォーホルの作品というか、作品未満みたいのがあって、4分間ニコのお顔を凝視できたのが超うれしい。「恵比寿映像祭」、時間があれば適当に通って映画見てこようかしらと思った。




コメント
初めまして。

OTKと申します。
いいですね、このサイト。
書評も映画評も、私が知らないのがたくさんあって、勉強になります。
園子温は好きです。

よろしければ、リンクを貼らして頂けないでしょうか?

【2009/02/22 03:10】 | OTK #- | [edit]
はじめまして。
コメントありがとうございます。

僕は園子温の知名度と人気に嫉妬です(僕自身最近まで知らなかったのですけれど、なんだか知っている人が多すぎて困惑しました)。

リンクはご自由にどうぞ、ありがとうございます。
【2009/02/22 20:03】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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  • 映画「愛のむきだし」【おそらく見聞録】
    監督:園子温(その しおん) 出演:西島隆弘(最高)満島ひかり(最高)安藤サクラ(怖ええ) 出演:渡辺真起子 渡部篤郎 板尾創路  盗撮に明け暮れ、罪作りに励む、神父を父に持つ主人公。 そんな男が、ある日、生まれて初めて恋に落ちる。 そして「愛の
【2009/09/12 02:15】
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