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アイとセップンを

2009.04.12(02:45)

 親愛なるX曹長さま

 あたしはいつも、すぐに混乱しちゃうのです。そして、仮に何かを考えるとしたら、やはり、あたしは何かものを書きながらでないと何かをまともに考えることもできないのです。ショーペンハウエルという人は「まともにものを書く人間は、書く前にすべての考えを終えているのだ。がみがみ」とおっしゃっていたと記憶しておりますけれど、あたしはショーペンハウエルではないのです。
 あたしは「遭難フリーター」の前半を見ているとき、わかりやすい新書を読んでいるような気持ちを覚えました。とても難解な思想をわかりやすく解説しているような感覚を覚えてしまったのです。そしてつけくわえて申しあげさせていただくならば、「遭難フリーター」でいちばんいただけないシーンは、ラストの夜行のシーンだと思ったのです。それは、新書的なわかりやすさから一転、「ラストに詩でも書いておこうか」というよくわからない試みのように思え、めいっぱい、混乱しちゃったのです。だからこう言ってよければ、「遭難フリーター」は芸術としてはまったく失敗している映画だと思えるのです。
 不思議なのは、映画や文学からはたやすく社会問題が抽出されるのにたいし、たとえば音楽からは社会問題が抽出されないことです。GLAYのTERUは「エイズ撲滅」を訴えるのに何故かそれを歌にはしないのです。MISIAもMr.Childrenの桜井和寿さんもそうなのです(よく、存じあげないので間違っているかもしれませんけれど、お許しください)。彼ら彼女は社会問題にとりくむためには銀行を設立したりアフリカに行ったりしなくてはいけないと思っているようにあたしには見えちゃうのです。そしてあたしたちもまたそれを見て「えらい、立派だ!」とか、「いいや、あんなもの偽善だよ」とか、ぼそぼそ陰で言ったりするのです。ほんとはあたしたちはミドリを聴いてそこらへんのおじさんのように「最近の若い女の子はうんぬん」と文句を垂れるべきなのです。でもおそらくそういうことを言うと「音楽のことなんかまったくわかってない!」と文句を言われちゃうのに決まっているのです。
 あたしの考えでは、社会問題なんてものはほんとには存在しないのです。文学や映画が物語や主張として描いているもの、あるいは新聞やテレビが扱っているものが社会問題と呼ばれているだけなのです。みんなかんちがいをしているのです。「おまえのためにチームがあるんじゃねえ、チームのためにおまえがいるんだ」という安西先生の言葉をあたしたちはもう一度ちゃんと考えるべきなのです。
「社会問題をテレビ・新聞が報道する」のではないのです。「テレビ・新聞が報道したものが社会問題」なのです。だからピカソの自画像は決して社会問題ではないし、あたしの書く文章も社会問題ではないのです。
 小谷美紗子さんは社会問題を扱った歌をうたいました。あたしはかつて、「そんなマイナなアーティストが社会問題を扱った歌をうたい、しかも誰も聴いていないということが愛おしい」と言いました。マイナなアーティストが社会問題を歌う、そのときその状況はいくらか芸術に近づくように思えたのでした。だから、あたしは社会問題と芸術問題は間違いなく相対的関係にあり、同時に、それらはあらゆる個人のうちにあるものだというふうに思っているみたいなのです。
 あたしはかつてある野球選手が「僕は一球投げるごと一個のワクチンをアフリカに送る」とおっしゃっているのを聞きました。あたしはいくらか困惑しました。「どうしてこの人は好きなだけワクチンを送らないのか。まるでアフリカをおもちゃにしているようじゃないか」と思っちゃったのです。あたしにはその野球選手のこととがよくわからないので、その人の声にあまり耳を傾けたくはなかったのです。でもたとえばその野球選手が「できるだけボールを多くする。打者はできるだけファールで粘ってほしい。そして早打ちをやめてほしい。何故なら僕は一球でも多く投げなくちゃいけないからだ」とかたいへん頭のおかしいことを言いだしたとしたら、あたしはその野球選手のことを信用できるような気がするのです。
 おわかりになるかしら?
 切手を買うお金がないのが、残念でなりません。
 かしこ。
2009年 4月12日
桜井晴也





コメント
わたしの母は、
友達を集めてインドのスラムの孤児院を渡り歩いて鉛筆やノートや色んなものをトランクにつめて持っていっています
そして、そのことは周りの人は誰も知らないし、
私には、インドの子ども達がこんなに目がキラキラしていて素敵だと力説し、写真をいっぱい見せてくれます
私は、そんな母がとても好きですが、皆さんは偽善だと思うかもしれませんし、
本人は大真面目です
【2009/04/12 11:59】 | yuko #z.GS.wHs | [edit]
すてきではないですか。
僕はそういうことはいっさいしないのですけれど、
行為だけはほんとに貴いんだと僕は思います。
僕が信用するしないなんかに関係なく、
たとえばこの記事のなかの野球選手は立派だと思うのです。
【2009/04/12 18:29】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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