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建築される十字架

2009.08.06(11:17)

鏡【デジタル完全復元版】 [DVD]鏡【デジタル完全復元版】 [DVD]
(2004/07/25)
マルガリータ・テレホワ

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 なんであれだけでわかるんだろう。こわい。

   ◇◇◇

 去年の年末あたりから、あるひとたちの日記の圧倒的な影響を受けて「世界を外的なものをきらきら輝くように見ているように他人からは見えるための文章を書く訓練」というのをたぶんずっとやってきたような気がする。だけれど最近、書いていることがけっきょく「愛ってすばらしいねっ!」ということにしか行きついていないような気がして、とても気持ちわるい。そうじゃない。あたしが書こうとしたのはそういうことではなかった。ふふん。

   ◇◇◇

 国立近代美術館までゴーギャン展を見にいったら、美術館に似合いすぎるかわいい女のひとがいたので、ゴーギャンを見ないで女のひとを見ていた。つまりそのひとの格好だとか、そのひとの絵を見る仕草だとか、グッズ売り場を完璧スルーして他美術館の展覧会のちらしをあさっているその種の接しかただとか、そういうすべてが美術館のなかでとても映えるように見えてすごくびっくりして、ゴーギャンどころじゃなかった。ここ最近美術館にいっぱい行っているけれど、あのひとほどきれいなものはほかになかった、と思う。あたしが映画監督だったらなあ、と思った。撮るべきものというのはほんとにはそういうものしかない、と感じた。
 ゴーギャンはタヒチに行ったあとの絵のほうがずっといい。印象派よりだけれど色の塗りかたは抽象画ふうで、地面を赤く塗ったり空をぴんく色で塗ったりやりたいほうだいでよかった。
「私はもう言葉を絵で表そうとは思わない」
 ゴーギャンはこう言ったそうだけれど、作家も、もう言葉を言葉で表そうと思うべきではないのかもしれない。

   ◇◇◇

 アテネ・フランセまで行ってタルコフスキー「鏡」を見る。「すごいものを見てしまった」と思って帰りの電車のなかでしばらく放心していた。こういう経験はあまりない。「ヱヴァ:破」や「愛のむきだし」や「オトナ帝国の逆襲」みたいに直接的に感動させてくれる映画もとても好きだけれど、タルコフスキーの映画、特に「鏡」と「ノスタルジア」は、見ることによって身体の内部に荘厳なものが建築されるような印象を受ける。たとえばそれは十字架や神殿のイメージだと思う。「ヱヴァ:破」によってあたしは確かに何かを「得る」ことができるけれど、タルコフスキーの映画はあたしのこころのなかに何かを「建築してくれる」。そういう印象を受ける映画は、すくない。タルコフスキー「鏡」、「ノスタルジア」、ヴィクトル・エリセ「ミツバチのささやき」、そしてゴダール「アワーミュージック」くらいだと思う。だとしたら、たぶんこれらの映画はほんとに特別な映画で、ちゃんと大好きだって言いたい。「鏡」は草原のなかで風が吹くだけでへんな気持ちになれる、映画のなかの草原に風が吹けば、あたしのこころのなかにいつの間にか芽生えていた草原も揺れる。それが鏡の本質であればすてきだなと思う。そしてゴダールはそれを指して「私たちの音楽だ」と言った。すてきだなと思う。すごくすてき。

   ◇◇◇

 この手の映画はDVDが発売されるたびにAmazonのレビューなどで「画質がひどい」と言われるけれど、どうしてなんだろう。フィルムからDVDにコピーすると色合いなどはどうしても変化せざるをえないのだろうか。DVDを自宅のしょぼいテレビで見ているという理由だけではないのだろうか。よくわからないけれど、フィルムは年々劣化する。それはとても悲しいことだと思う。とにかくこういう映画だけは上映の機会があったらちゃんと通おうと思った。だいすき。

   ◇◇◇

 夢のなかで母親が髪の毛を洗っているシーンがいちばん好き。

   ◇◇◇

 タルコフスキーの映画について他人に話すとき、「眠くなる」とつい言ってしまう。すると「じゃあつまらないじゃん!!」と必ず言われる。そういうときちゃんと説明したいのだけれど、いつもちゃんと説明できない。「鏡」も20分とか30分くらいは寝ていたのだけれど、それでもちゃんと放心することはできたし、上映中すごいシーンでは息をとめていたりした。「おもしろい映画はすべて眠くなる」と誰かが言っていて、あたしはさすがにそこまでは思わないけれど、おもしろさと眠くなる率はあんまり関係ないのかなとは思う。
 あたしだってできることなら眠りたくなんてないのだけれど、眠いのだからしょうがない。
 90分の映画があって、45分眠ったとしても、45分見られたのだからいいと思う。そして2回目を見るとき、残りの45分を見ればいいと思う。仮に2回目を見ることができなかったら、それはそれでいいと思う。「ストーリーがわからなくなる」と言うけれど、あたしは、映画でストーリーがわかることのほうがすくない。まして、「鏡」みたいな映画はストーリーが事実上存在していないので、べつに途中を見ていなくても問題ないと思う。それでも嫌なら、ネットで調べたり、誰かに教えてもらえばいいと思う。




コメント
美術館では確かに展示作品以上に目を奪う人がまれにいますね。さて『鏡』は確かに素晴らしい映画、凄んごい映画だと思います。タルコフスキー作品とは一見全く異なりますが何度も観ると深いところで感動しているのに気付くのが小津作品です。今丁度『秋刀魚の味』が上映されています。
http://www.art-center.jp/tokyo/bluestudio/schedule.html
【2009/08/06 15:22】 | q.n. #- | [edit]
私だったら「東野英治郎の出てる映画と5部までの『水戸黄門』全部!」がいいと考えます。より正確に言うと東野が出てるシーンが好きです。例えば、「七人の侍」で彼が盗賊役を演じて斬られるシーン。5秒くらいですし、本編とはあまり関係のある場面じゃないですけど。小津の「東京物語」で主人公といっしょに酒を飲んでベロンベロンになるシーン。ここも本編とはたいして深い関わりはないのですけれど。古い道を歩いているときれいな石をごくまれに見つけます。そんな感じです。道を進むのを忘れてじいっと石を見つめる。たぶん私はそんな私も好きなのです。でも、私はまだ「宮本武蔵」で東野が三船敏郎に斬られるシーンを観ていません。これで東野が「椿三十郎」(古い方)に出てくれていたら完璧でした!みたいな気がします。
【2009/08/07 17:39】 | 上田洋一 #- | [edit]
「秋刀魚の味」は見たことがあります、おもしろい映画ですね。
ほとんど覚えていませんが、何故か結婚したくなる映画だと思ったことくらいは覚えています。
【2009/08/11 04:42】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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