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シリカゲルな部屋へようこそ

2010.01.30(06:07)

いやしい鳥いやしい鳥
(2008/09)
藤野 可織

商品詳細を見る

 2010年1月29日(金) 夜

 ついったーがあることで、しょこたんらの「一日○○回更新達成!」の意味がほとんど失われてしまうんだなあと思うと、せつない気持ちになった。あと、ネット上で投票ができるようになるのなら、あたしはほぼ必ずちゃんと選挙に参加すると思う。「選挙に行くのがなんだか恥ずかしい」と思うひとがぜったいに多いはずだ。「めんどうくさい」よりも「恥ずかしい」。あとはそれだと勝手に思っている。インターネットで何かをやることはぜんぜん恥ずかしいことではなくなるのだから、インターネットで投票があるのなら、あたしはするだろう。
「投票はあたしにとってただしいのか」
 その問題は、いつでも残るはずだけれども。
「内定者の新年会をやりましょう」というメールが来ていて「ああ、こんなに行きたくない飲み会もないな」と思って、メールを見るたびに気がふさいでしまう。あけられる日も返したくない。でもまえも返さなかったので、いいかげんかえさないとまずい。返してもなんだかんだ理由をつけて、行かないけれど。会社入るまえからすでに協調性でこんなに苦労しているあたしに、会社はよく内定をくれたと思う。人事のひとがそのことであとで怒られなければいいけれど。

   ◇◇◇

 藤野可織の「いやしい鳥」がおもしろい。
 藤野可織がかわいい
 藤野可織「近眼地獄」がかわいい。
 あたしは藤野可織を応援します。

   ◇◇◇

 森山さんところのアンケートができた。2009年に読んだ本、見た映画のなかでいろいろな事情からアンケートからこぼれおちたものを、おもに自分のために列挙する。じぶんだいすき。順不同。

 映画

 松本俊夫「薔薇の葬列」
 ゴダール「フォーエヴァー・モーツァルト」
 テンギス・アブラゼ「懺悔」
 エイゼンシュタイン「戦艦ポチョムキン」
 井口奈己「犬猫」(16ミリ)
 ジャ・ジャンクー「世界」
 ガス・ヴァン・サント「パラノイド・パーク」
 寺山修司「田園に死す」
 園子温「紀子の食卓」
 庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」
 ジャン・ベッケル「クリクリのいた夏」
 パラジャーノフ「火の馬」
 キム・ギドク「絶対の愛」
 大島渚「戦場のメリークリスマス」
 ナ・ホンジン「チェイサー」
 チャン・フン「映画は映画だ」
 ルイ・マル「地下鉄のザジ」
 是枝裕和「空気人形」
 横浜聡子「ウルトラミラクルラブストーリー」
 ポン・ジュノ「グムエル」
 アリ・フォルマン「戦場でワルツを」

 本

 高橋源一郎「大人にはわからない日本文学史」
 プルースト「失われた時を求めて」(1巻 スワン家のほうへ)
 パヴェーゼ「美しい夏」
 吉田健一「本当のような話」
 ヘッベル「ヘッベル短編集」
 小島信夫「アメリカン・スクール」
 セリーヌ「なしくずしの死」
 ブローティガン「鳥の神殿」
 村上昭夫「村上昭夫詩集」(現代詩文庫)
 ブコウスキー「町でいちばんの美女」
 高見順「高見順詩集」(現代詩文庫)
 早坂類「黄金の虎」
 荒川洋治「文芸時評という感想」
 村上春樹「1Q84」
 ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
 金子光晴「人間の悲劇」
 ジョイス「ユリシーズ」
 浜江順子「飛行する沈黙」
 ムージル「愛の完成 静かなヴェロニカの誘惑」
 水無田気流「Z境」

 これだけおもしろい本と映画があれば、あたしはなんとか、一年一年を生きていけるかもしれない。
 昔は、映画というのはすべて吹き替えがあるものだと思っていた。でも、映画館に通うようになると、吹き替えがあるものなんてほとんどなくて、なんだか、映画の常識をひっくりかえされたような衝撃を受けた。だから、この前「アバター」を見にいったとき、「アリス・イン・ワンダーランド」の予告編が吹き替えでやっていて、なんだかびっくりしてしまった。

   ◇◇◇

 未熟くんが「先生は火曜日と木曜日(ゼミのある日)しか学校に来ない」と言っていた。「うそー」とあたしは思ったのだけれど、どうやらほんとうらしい。出席率があたしと同じだ! 今日もいない! 書類にはんこがもらえない! にゃんにゃん!

   ◇◇◇

 夜の10時からアルバイトへ行きます。さようなら。



 2010年1月30日(土) 明け方

 アルバイトへ行ってきた。「Smart」のインテリアブックがおもしろいことがわかった。Fさんが「すごい、トイレが野外にある!」と言っていた。あたしも見た。すごい、トイレが野外にある! ベランダにトイレがある部屋づくりをあたしもしたほうがいいのだろうか。インテリアに凝るならば、わいせつぶつちんれつざいで捕まってもいいのだろうか。インテリアの道は深すぎて、まだまだあたしには修行がたりない。ちなみに、あたしの部屋はシリカゲルよりも無味乾燥としているので、あたしですらいたくない。
 Fさんに「家って欲しい?」と言われたので「べつに」とそっこうで答えた。ひどいと思う。あたしがひどい。Fさんは「場所が固定されるのがいやだ」と言った。「となりがいやなひとだったらいやだな」とあたしが言った。Fさんは「となりがヤクザだったらさいあくだ」と言っていた。となりで出入りが行われている家。「場所代とかとられそう」とFさんが言ったので、爆笑した。自分の家にいるのに場所代だなんて。

   ◇◇◇

 藤野可織「いやしい鳥」を読みおわった。ここ最近読んだもののなかではいちばんびっくりした。いちばんおもしろい。

 M専は違う。M専の子は聞こえるように言う。しょっちゅう聞こえてくる。講義中も、廊下歩いてても。俺の服装とか、髪の毛のこととか。芸術系の専門学校だからみんなそりゃめかしこんでるのかもしれん。でもそういうのは自分たちだけでやってくれと思うよ、おしゃれとか、ダイエットとか。シャツの裾ズボンに入れたら人間じゃないのかっての、生え際がどうだってんだよ、見たぁ? 見えたぁ? 高木の靴下! 見た見た黄色の蛍光色だったーあれおしゃれのつもりなのかな? とか。あれは薬局で当たったんだよ! 履いたらいかんのか!

 その日、夕焼けを見た。嫌な色の夕焼けだった。子供の頃、家族で鍋をやってて、俺は早く鶏肉が食いたくって仕方なかった。野菜よりも肉が食いたくて仕方なかったんだよガキだったから。で、母親の目を盗んで肉にかぶりついたらまだ中が生煮えでひやっとしてて、俺の歯が作った断面がさ、ちょうどあんな色だった。生煮えの鶏肉の色の夕焼けだ。

 包丁の刃に触ると冷たくて気持ちよかった。あいつを殺したら俺もこの包丁みたいにすーっと冷えて、ところどころ錆びて持ち手の木はびび割れて廊下にごつんと落ちてずっとそのままでいるんだろうかと考えた。そのうちに、俺のひび割れた柄を誰かがそっと掴んで拾い上げ、刃の背を人差し指でなぞり、流しに持って行って蛇口からぼたぼたとこぼれ落ちる水にさらしてくれた。俺を洗って乾いた布巾で拭いてくれたのはきみだった。でもきみは俺だってことに気付かないで流しの下の戸を開けて、包丁差しにすとんと差して、ばたんと戸を閉めてしまう。それで真っ暗になってしまった。


 藤野可織は、ホラーとコメディの境にいる。彼女は、あたしたちが想像できるぎりぎりの範囲にあるものごとをやさしく爪でひっかいているように見える。彼女は向こう側に行ってしまわない。行ってしまわないからこそ、この小説はきちんとエンターテインメントとして読めるし、行ってしまわないからこそ、この小説はこわい。そしてこわさの上にせつなさをのせることができる。2番目に引用した夕焼けのせつなさにあたしははっとした。3番目に引用した包丁になってしまうくだりにあたしはぞっとした。いい小説だ。この男は、たとえば自分が食べたものがお粥だったのかげろだったのかわからなくなって、それでもお粥だと信じたくて、ごみ箱からお粥の袋をひっぱりだして胸に抱いて眠った。そういうリアリティ、せつなさをあたしたちはどう受けとったらいいんだろうか。あたしはたぶんお粥の袋を抱いて眠らなければいけない。そうしなければ何かを失ってしまうような気がするからだ。この小説はせつない。あたし好きだ。ほんとに好き。
(ねたばれになるから書かないけれど、ストーリーがとんでもない。だいすき)

   ◇◇◇

宇宙はいま 秋だ。
死のうとした少女が
家からの独立とひきかえに 立ち直り
海のむこうから来たひとが
きみ自身より明確にきみの孤立を語る。
黄ばみかけた木蓮の下葉が陽を透かし
走ってくるバスの灯から
ふいに「永遠」が姿をあらわす
世界が急速に小さくなり
青い砂漠のくにに住む人びとが
真近かに感じられるのも
そうした秋の一日のことだ。
きみはふと 尻尾のほうからすき透っていくのを感じて
急いで椅子から立ち上るだろう
そのとき きみの短い休息は終り
きみはすでに 新しい行為のなかに入っているのだ。
                   高良留美子/秋

 まったく意味はわからないけれど、かすかな目覚めと蠕動、透明さがすごくすごく、伝わってくるじゃないか。たとえば「秋」というタイトルのもとでこんなことを書いてくれたら、「すてき!」と言うしかないじゃないか。
 あたしは、詩なんてぜんぜん読まないし、わからないし、あたしの書く詩なんて悲しくなるくらいにへぼへぼで、とくにさいきんは詩にたいするやる気もかいむだけれど、言葉が好き、たぶん好きだから、もし、かりに日本でいちばんすてきな言葉たちが現代詩文庫にたくさんおさめられているのならば、あたし、それをぜんぶ読みたいって思うんだよ。




コメント
ホラーとコメディの境とは言い得てます。

「いやしい鳥」を読んだとき、ちょっと気持ち悪い作品
としか見てなかったのですよ。
読むにつれ面白くなってきたので、結構嫌いじゃないんですが・・・。

しかし不思議な作品の方向性ですが、
http://www.birthday-energy.co.jp/
に、藤野さんを解説する記事が載っていて、
もともとそういう性格で、作家業が適職らしいです。
しかし「汚れている」、「屈折している」とはまたキビシイ。

久しぶりに再読してみようかと思います。
新作の『パトロネ』も出たことですし。
【2012/04/30 20:27】 | しんぞぉ #DvI991tw | [edit]
しんぞぉさん


気持ちわるいからこそのせつなさとか
おかしさ というのが好きです。
きれいはきたない
きたないはきれい。
【2012/05/07 01:17】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
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