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2010.02.26(17:55)

女中たち バルコン (ベスト・オブ・ジュネ)女中たち バルコン (ベスト・オブ・ジュネ)
(1995/10)
ジャン ジュネ

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 木曜日、長谷川等伯展に行こうかしら、ルノワール展に行こうかしら、と思いなやんだ結果、借りてきた押井守「スカイ・クロラ」を見てすっかり時間をつぶして、けっきょく、だらだらしたあと渋谷まで行き、小説新人賞をとるための勉強会的なものへ。
 わたしは、あんまりまじめに小説を書くつもりはないし、推敲もめんどうくさくてほとんどやる気もしないけれど、「俺は少しはまじめにものを書いたほうがいいんじゃないかな」と思った。「わけがわからない」のはいいと思う。「わけがわかった」というのはわたしの考えだとほとんどの場合「わかったと思いこむことによって何かに一応の解決をつける」ということで、それはたぶんたいしたものではないと思う。「わけがわからない」けれど「なんかいい」というのがよくて、「わけがわからない」し「ぜんぜんおもしろくない」というのはだめなんだと思う。あたりまえのことだけれど。高橋源一郎が「学生に樋口一葉を読ませると『わけがわからない』と言う。『こんなものじゃないでしょうか。文章も舞城王太郎を初めて読んだときもこんな感じでした』と言う」というようなことを言っていた。樋口一葉はじつはわけがわからないんだと思う。舞城王太郎ももちろん。わたしは「それはそうだからそうなんだ」としか思っていないし、そういうつもりで書いていた。だから「これこれこれはどういうことなんだ」と言われても答えられない(もちろんわたしがわるい)。「これこれこれはこうだからそれはそうなったんだ」というベクトルを否定したのをカフカだと思っていて、わたしはカフカからほんとうに現代が始まったんだと思っているからわたしはカフカだいすきなんだけれど、カフカも樋口一葉もたいして変わらないかもしれないない。そして問題はそうしたとき、わたしとだれかがどういうことを対話できるかということだ。そこは断絶されるべきじゃないと思う。

 終わったあと、お酒を3杯飲んだ。3杯で気持わるくなることなんてふだんならぜったいないのに、なぜか帰りの電車のなかで脳裏にお花畑がめぐりはじめたので、「死んでしまう」と思った。新宿で降りてトイレに入り、篭城をした。トイレのなかで目に見えない何かと戦いつづけること1時間以上、ついに駅員がきて「シャッター閉めます」と言われた。ほんとすいません。新宿駅をでたときにはだいぶ回復していて、とりあえず漫画喫茶で眠ろうと思ったけれど漫画喫茶が見当たらなく、「池袋まで4キロ」という看板を見つけてしまったため、なんとなく池袋まで歩いた。思ったよりも遠い。深夜になると明治通りぞいでもひとがほとんど歩いていなくて、ときどき工事の光がちらちらしていた。目の前の女のひとの帽子がゆるい風に飛ばされていた。池袋までようやくのことでたどりついて、人生で生まれてはじめて漫画喫茶にはいって朝の6時30分まで眠った。松屋で朝ごはんを食べて、電車に乗って家に帰った。なんだかなあと思った。

   ◇◇◇

 ある若い作家が、公園で五、六人の腕白小僧が戦争ごっこをしているのを見た話をしてくれた。二つの部隊に分かれて、まさに攻撃を開始しようとしていた。夜がやってくるところだ、と子供たちは言う。だが空は真昼時だった。そこで子供たちは仲間の一人が<夜>になることに決めた。一番年下の、一番ひ弱そうな子供が、宇宙の構成要素となったが、そのとき彼は、<戦闘>の支配者と化した。<彼>こそが<時刻>であり<瞬間>であり、<不可避なもの>となったのだ。おそらく、はるか遠くから、彼はやってくる。天体の循環のごとく冷静に、しかし日没の憂愁と栄華による重々しい気配をそなえて。彼が近づいてくるにつれて、ほかの連中、つまり<人間たち>は次第に苛立ち、不安になってきた……しかし、その子は、彼らの都合としては、早く来すぎていたのだ。彼は自分自身に先んじていたというわけだ。全員一致で、両方の部隊も隊長も、<夜>を廃止することに決め、<夜>は再び一方の陣営の兵士に戻った……演劇がわたしを魅了することができるとすれば、ただこのような方式からだけである。
     ――ジャン・ジュネ「ジャン=ジャック・ポーヴェールへの手紙」より

                   
 おそらく、ほとんどの小説にたりないのは<夜>だ。だからわたしは<夜>を描きたいと思う。参画し、離脱していくそのグロテスクを。




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