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非領域化された約束

2010.04.14(20:18)

 昨日、あの子たちは僕にチョコレートをくれ、「お世話になりました」という手紙をくれたけれど、僕とあの子たちはほとんど何もしゃべっていなかったのだから、僕たちに出会いはなくはじめからわかれしかなかった。出会いがなくわかれしかないのなら、そのわかれはわかれではなく、それを「わかれ」として提供してきたあの場所は安易だった。そしてあの場所を安易としてしか存在させられなかった僕はもっとも安易だった。だから、僕とあの子たちのあいだにははじめから終わりまでチョコレートしかなかった。手紙を食べてチョコレートを捨てようと思ったけれど、それはあんまりだから、チョコレートを食べて、手紙は捨てた。
 会社が終わってから、1万5000円のママチャリに颯爽と乗って、くりーにんぐ屋さんに行った。くりーにんぐ屋さんはひとの服を洗ってくれるいいひとらしいけれど、わたしはくりーにんぐ屋さんていっかいも行ったことないから、それはたぶんうそで、くりーにんぐ屋さんはくりーにんぐおばさんがいきなり漂白剤とかを投げつけているところだって思いこんでいた。だからびくびくして、行ったのだけれど、わたし、黙ってはいって、だまって服をわたしたら、くりーにんぐおばさんは漂白剤を投げつけることなく服を受けとってくれたから、お金をわたした。ひとりでできるもん。

   ◇◇◇

「だれかを、好きになってからしか好きになれないのは、悲しいね。」というのはただの告白だった。だからわたしの日記はいつも、ただの告白だった。そこには約束はなかった。あの子たちと僕との出会いもわかれもない出会いとわかれみたいに、ただの告白されえない約束だったし、約束されえない告白だった。ただそれだけのことだった。だからわたしはいつもだれかを好きになってからしか好きになれないと思う。
 非領域化とはただの量子化のことだと思う。波と物質というふたつの性質を持つ量子はすでに「かたち」という概念を失っている。かたちを失ったものはただの歌だ。意味を失った言葉だ。意味を失った言葉たちにわたしたちは「だからなんなの?」と問いかけてばかりいるから、わたしたちはその強度を測らなければいけない。強度の測定とはどのくらいだれかをうっとりさせられるかということだ。あなたの歌声がどれくらいすてきかを訊ねているだけのことだ。ベケットとジョイスはカフカの非領域化された領域をべつのやりかたで再び非領域化した。だから、わたしにはベケットもジョイスも理解できなかった。カフカは何かを書くふりをして何かを歌っていただけだった。だからカフカは正確に言えばもはや読むものですらなかった。カフカとわたしは出会うまえからわかれている。だからわたしはきみに出会いたいって思った。あと何度会えばきみに出会えるんだろうと考えた。わかれたあとに「再会する」んじゃなくて、わかれたあとに「出会い」たかった。わたしはきみと連続した一回一回でありたかった。わたしはきみの一回一回をうまく継続したいと思った。どうしてそれがうまくできないんだろうと思った。それはきみのせいじゃなかった。きみのせいじゃなかったから、それはいつも告白だった。わたしは約束しない。きみとは、決して。




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