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モーリス・ユトリロ展@損保ジャパン東郷青児美術館

2010.04.25(03:47)

 はんぶん残ったホールトマトの缶を眺めてどうしよう、と思ってトマトソースなスパゲッティをつくった。前回つくったときはごみのような味がしたけれど、今回は「レストランでこれがでてきたらとりあえずもう来ないよね」というぐらいのレベルにまで成長した。わたしは2グラムと20グラムと200グラムの区別がつかないし、たまねぎ1/2と1/4の区別もつかないので、「料理ってむつかしいな!」と思う。おおさじってなんだか知らないし、こしょう少々と言われても意味がわからないし、わたしは臆病だからだいたい調味料をいれすぎると失敗するぞ!と思ってあんまりいれない。そういうひとはだいたいまいにちトマトを水につけたようなものをつくるだろう。まずい。

   ◇◇◇

 朝から「トライガン」を見てくる予定だけれど、うっかり買い物に行ってしまい、「むりだ」と判断したので、むりだった。
 2時に藤野さんと待ちあわせをして、いっしょに、損保ジャパン東郷青児美術館で「モーリス・ユトリロ展」を見た。ユトリロの描く壁にびっくりした。ストライプなるものを発明したのはユトリロかもしれないと思った。「パリの思い出になにを持ってかえるか?」と訊かれて、ユトリロは「壁の漆喰だ」と答えた。ユトリロは壁にぐるんぐるん、ソニックブームみたいなものを平然と書いていて、ひとはまえを向いているのかうしろを向いているのかもよくわからなくて、たとえば景色は、空が茶色で地面も茶色で、繊細な絵ではぜんぜんなくて絵画の全体がのっぺりしていた。ひとの身体は透けてその背後の壁が見えた。壁を描いてそのまえにある物体を四角くかこっていた。幼稚園児みたいな雑さで。木はただの線だし、壁はただのべた塗りだった。すごくすごく、きれいだった。
 新宿西口はこわいから新宿東口に行こうとしたら、新宿東口が見つからなかった。ぐるぐるまわっていたら新宿西口から新宿西口にたどりついたので、わたしたちは不思議だった。実在しない坂をとぼとぼとのぼっていたら、いつのまにか新宿の南口にいた。南口から東口へはかんたんだった。ひとがたくさんいたからこわかった。喫茶店はどこもひとがぎゅうぎゅうにつまっていて、みんな階段まではみでていた。きっとあのひとたちは潰れていた。とぼとぼとひたすら歩いていたらひとがぎりぎりはいれるくらいの喫茶店にたどりついたので、わたしたちはぎりぎりはいった。わたしたちは家族になった。藤野さんは「わたし、眼鏡ケースをいっぱい持っていますよ!」と言った。「気がついたらめがねが車にひかれていました!」とも言っていた。なにを言っているのかまったくわからなかった。ドイツの、ちいさなくまのかたちをしたぐみを知らないといったら、死ぬほどばかにされたのでかなしかった。「ヒトラーの次に有名なのに!」と言っていた。でもわたしはほんとうにぜんぜん知らないし、藤野さんはだいたいいつもなにを言っているのかわからないので、そんなくまはいないと思う。わたしたちはずいぶん長居をしていて、でたら、ドアに「クローズ」と書かれていた。意味がわからなかった。新宿にひとは多すぎて、いったいあのひとたちはなにをしているんだろうと話した。たぶん新宿のひとたちはみんなエキストラだった。べつにやることもないのにただ歩いているだけだった。だから新宿はこわかった。藤野さんに「クルーズする?」と訊いたら「わたしの前世は船乗りだからクルーズします!」とか言っていた。でもクルーズできなかった。あとたぶん前世が船乗りだというのもうそだと思う。
 ごはんを食べた。藤野さんは夏は生ごみを冷凍庫に放りこんでおくと言った。それわたしもやっていた。でもわたしは冷凍庫に放りこんだ生ごみを母親に発見されて思いきりひかれたことがあった。わたしはそれはわたしが生みだした最高の知恵で、わたしはつまりわたしを天才だと思っていたけれど、そうではないらしくて、だから藤野さんもべつに天才ではなかった。ごはんを食べたあと、また喫茶店までてくてくと歩いた。藤野さんは「リルケは3人ぐらいひとを殺した顔をしていて、あんな詩を書いてそれはおかしい!」と言っていた。リルケの顔を見たら、20人くらい殺していそうだった。「ドストエフスキーはトルストイの顔をしていて、トルストイはドストエフスキーの顔をしています!」とか言っていた。「シューマッハ!」とかとつぜん言いだしていた。
 11時になっていいかげん喫茶店から追いだされて、もうぜんぜんふつうに帰るつもりだったけれど、マックのまえを通りかかったときうっかり「無料券もらったんだ」と口走ったらなぜかマックにはいることになっていて、無料券だからいっぱい買った。ポテトを3つくらい食べたところで、「あ、俺おなかいっぱいだ」と気づいた。でももう遅かった。エンドレスにかかる「ロッキーのテーマ」に励まされながらがんばって食べた。「コーラはなんで黒いんですか?」と訊かれた。知らない。「黒砂糖?」と訊かれた。ぜったいちがう。「しょうゆも黒いよ?」と訊いてみた。大豆は茶色いのに。でもわたしたちはいつもなんにも知らなかった。なんにも。
 12時になってマックからも仮想的に追いだされたので、帰った。改札で藤野さんがひっかかっていた。だいたい、彼女のICカードはどうせ偽造に決まっていて、わたしまでいっしょに捕まるのはいやだから、藤野さんを置いてさっさと逃げた。終電がないようにしか見えないのでびっくりして、でもホームに行ったらふつうに終電があったので、2度びっくりした。




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