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ごみ犬

2010.04.27(23:15)

 それはあまりにもつらすぎるだろうと思った。わたしはわたしがあまりにもつらすぎると思った。わたしはわたしがあまりにもつらすぎるのに、わたしがあまりにもつらくないと感じていることがつらかった。わたしは、
 どうしてわたしはこんなにもだれかのこころをよごすことしかできないんだろうと思った。だれもかれもが、わたしに会うたびによごれていくみたいに見えた。あの子もあの子もわたしに会うたびにうすぎたなくなっていって、それからますます美しくなっていくようだった。毒きのこをつんでだれかに食べさせてあげようって思った。そうすればわたしは死なずにすむんだから。わたしは死にたくなかった。死にたくないかわりにだれかの首をぎゅっと締めて「おはよう」と言いたかった。変態でよかった。かりにわたしが美しく、かりにわたしがだれかを愛せるようになれるのなら、わたしはロープにはさまれた変態でよかった。毛布にくるまり、そのままの格好で夜の街を徘徊したかった。だれかれかまわず襲いたかった。とくにお金持ちのひとを。お金がほしかった。あの子を幸せにできるくらいのたくさんのお金がほしかった。ぴかぴかとねずみを焼くくらいのお金でひとを焼きたかった。でもわたしたちには黄金は似つかわしくなかった。見つけた金貨にはいつも雑草がからまっていて、わたしはそれを抜こうとするのだけれど、それはほんとうにしっかりからまっているから、わたしは抜けなかった。雪みたいな泣きかたばかりしていた。泣きかたを忘れたあとにキーボードのたたきかたを忘れるくらいなら、キーボードのたたきかたを忘れたあとに泣きたかった。遠い声だけが難聴だった。近い声は好きなひとのそれではなくて犬の遠吠えだった。わたしたちはいつも吠えすぎてしまって、約束はからころと転がっていたいけな斜面になっていた。あの子が傘をさしてわたるならわたしは傘のさきっちょをにぎっていたかった。犬をおいはらってあげたかった。でもわたしはいつも、あの子の犬のしっぽだった。わたしは好きだったのに、あの子はわたしの牙に膝をえぐりとられて泣いていた。傘がからころと転がって裏に雨を受けていた。膝がなくなっちゃったと言って泣いていた。膝を回復させてあげようってわたしは言った。「ベホマ!」。ベホマ、ベホマ、でもわたしは不思議なちからは持っていなかったし、あの子は「このひとはなにを言っているんだろう」と思って泣いていた。でもそれすらもうそだった。わたしはベホマとすら言っていなかった。だからその軽蔑はわたしのこころのなかのちいさなプリンタだった。わたしは現実を持っていない。だからこそわたしはうすよごれて、あの子のなくなった膝のなかに輝く小さな光に見惚れていた。犬が来た。犬がやってきた。わたしは両手でえぐるだろう。わたしの両手には10本の指、頭のなかには排気ガスのふりをした犬。犬が来た。犬がやってきた。




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