スポンサーサイト

--.--.--(--:--)

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。





スポンサー広告 トラックバック(-) | コメント(-) | [EDIT]

わかれるにたる映画

2011.03.21(15:32)

アレクサンドル・ソクーロフ DVD-BOX 3アレクサンドル・ソクーロフ DVD-BOX 3
(2010/03/27)
ガリーナ・ヴィシネフスカヤ、レオニード・モズガヴォイ 他

商品詳細を見る

 3月16日(水)

 会社にいった。停電だから、4時に帰った。帰ったから寝た。


 3月17日(木)

 会社にいった。うちのチームの進捗会議では、毎回だれかひとりが「おもしろ話」を提供しなくてはいけれない血の掟があって、わたしはおもしろい話なんてひとつたりとも持っていないし持っていないだろうと見破られているのでその指名はちっともなくて安心していたけれどこの日はひとりひとつずつおもしろ話をしなくてはいけないことになった。なんにもないから「加湿器が欲しいんですよね」とてきとうなことを言っていたら、KAさんが「いらないからあげるよ」と言ってくれた。ほくほく。
 近くのスーパーにいったらろうそくが売っていたので、テンションがあがって120本買い、とくに停電ではないけれど電気を消して「おっしゃれー」と思いながらろうそくの明かりをともして文章を書いていた。暗くてキーボードがうてなかった。


 3月18日(金)

 会社にいった。同期との飲み会だった。CKさんをともなって居酒屋さんにいった。ぺかぺか煙草をふかしながらなにかを話していたらHTさんとKYさんがやってきて、なにかを話した。なにかを話しながらなにかを話しているとSKくんがやってきてまたなにかを話した。なにかを話しながらなにかを話していると、わたしとCKさんをのこしてみんな帰ってしまった。まだAIさんとHAくんがくる可能性があるからどうしようと思っていて、でもふたりはこないだろうと思っていた。そうしたらHAくんがきた。喉がかわいたと言ってお酒をいっぱい飲んで、串焼きを20本食べていた。さすが期待に答えてくれるぜと思った。HAくんはかなり酔っぱらっていたと思うけれどおもしろいから放っておいた。12時30分くらいまで飲んで帰った。CKさんはまだあるだろうけれどHAくんの電車はもうないんじゃないのかなと思っていたらなかった。やっぱりと思った。「泊まっていきなよ」とわたしはかたちだけ言った。HAくんは「2時間歩けばつくから!」と言って夜の闇に消えていった。


 3月19日(土)

 ロシア映画特集があるので、アップリンクファクトリーまでへこへこ電車に乗っていった。ブルーレイ上映だったのでびっくりして、むかちんと思った。そんなことはどこにも書いてないし、お客さんの誘導もろくにできないし、これで1200円は高すぎだろうし、いったいなんなんだろうと思ったけれど、どうしてもソクーロフ「エルミタージュ幻想」が見たかったからがまんした。がまんがまん。
「エルミタージュ幻想」はディズニーランドのアトラクションそのまんまだったのでびっくりした。90分ワンカットで撮るとこういうことになるのかと思った。90分のワンカットの映画をほかに知らないけれど、90分ワンカットで撮ると映画はディズニーランドのアトラクションになるのというのは世紀の発見だったと思う。でも、それってほんとうにはいったいどういうことなんだろう。ディズニーランドのアトラクションがおもしろいのと同様「エルミタージュ幻想」もおもしろいけれど、80分くらいは寝ていたのでよく覚えていない。
 ぺん子さんとモヤイ像で待ちあわせをして、ラース・フォン・トリアー「アンチクライスト」をいっしょに見た。2回めだとどのシーンが見てはいけないシーンなのかだいたいわかっているからまったくてきせつなタイミングでぎゅぎゅっと目をつぶることができるし、彼女はだいたいいつもびくついているとおりばっちりびくついていたしで「ふふん。もう俺は余裕だぜ」と得意だった。けれど、「アンチクライスト」はやっぱり安心して見てはいけないんだと思う。久谷雉さんが「初回デートでラース・フォン・トリアーの映画をいっしょに見にいってすぐにわかれた恋人たちがいた」という話をしていたけれど、やっぱりよくわからなかった。もしもかりにわたしがだれか恋人となにかの映画を見にいったとしても、ぜったいになにも起こらないと思う。たぶん、この世界にはわかれるにたる映画なんてないし、わかれるにたるにんげん同士の関係なんてない。
 いっしょにごはんを食べにいった。蒸篭蒸があったけれど、わたしたちは蒸篭蒸がなんなのかよくわからなかった。たぬきめいたものが踊っていた。春画が飾ってあった。もはやいったいなんなのかちっともわからなかった。地震の話とか会社の話とかにんげんの話とかをしたと思う。けれどもよく覚えていない。覚えるにたる話なんてたぶんひとつもないし、わたしはそれでいいんだろうと思う。


 3月20日(日)

 むかちんをおさえながらやっぱりどうしても見たいがためにアップリンクファクトリーまででかけ、ソクーロフ「チェチェンへ アレクサンドラの旅」を見た。すばらしかった。これはアサイヤス「クリーン」と同じ映画だと思う。ほんとうに力量のある監督がとりたてて特徴をあげることができないものたちを淡々と撮る、そういうやりかたをやればこういう映画をつくることができるのかと思って「ごくり…」と思った。最初の1秒めから映像にこもっている「ちから」がぜんぜんちがう。兵士がただ歩くワンカットワンカットの圧倒的密度にめまいがした。こういう円熟のしかたはどういうことなんだろうと思う。たとえば、井口奈己はすばらしい映画を撮るけれど、ソクーロフ「チェチェンへ」とくらべれば「ひよっこ感」がある、というか、彼女をふくめたほかの映画監督はおそらくこういうふうな円熟のしかたをしないんだろうと思う。というよりも、あえて円熟しないやりかたを選びつづけるということなんだろうか。これを見れば、いかに作家が円熟しない生きものなのかよくわかってしまってこわいくらいだと思う。ボブ・ディランの現在のありかたを見たとき、ソクーロフとくらべればもうディランは円熟しきってべつの方面にいっていると思う。村上春樹、高橋源一郎は円熟をしない。「力量」というつまらない観点から見ればティム・オブライエンがそれにあたるのかもしれないけれど、なんとも言えない。もしかしたら、ソクーロフやアサイヤスのようにちょうどいい場所に円熟によって到達しようとするひとたちは、この世界にいなんじゃないだろうかと思う。そして、もしもかりに映画という形態がそういう場所を許すことができているのなら、小説も、詩も、音楽も、貧困だ。
 ワレーリイ・フォーキン「変身」も見た。ザムザ役の俳優がにんげんの姿のままでぴいぴい鳴いていて「なんだこりゃ?」と思っておもしろかった。けれど、「チェチェンへ」を見たあとでは「やっぱりこういうのってなんだかんだ言ってもこけおどしかも」とも思ってしまった。寝ていたからよくわからないけれど。
 シネマヴェーラでヤウ・ナウホイ「天使の眼、野獣の街」、ベニー・チャン「香港国際警察/NEW POLICE STORY」を見た。もはや「チェチェンへ」がどうであろうと圧倒的無影響さでなりたつこの手の映画はすばらしいと思う。「天使の眼~」もわるくはなかったれど、「香港国際警察」がさいこうにおもしろかった。あとジャッキー・チェンが生きているということを初めて知ってとてもびっくりした。あの世のひとだと思ってた。




コメント
>近くのスーパーにいったらろうそくが売っていたので、テンションがあがって120本買い、とくに停電ではないけれど電気を消して「おっしゃれー」と思いながらろうそくの明かりをともして文章を書いていた。暗くてキーボードがうてなかった。


こういう文章好きです。
ユーモアのない人がたどり着ける極地のような、そんな面白さがあるって思います。
それはもしかしたら、ユーモアのある人よりぜんぜん面白いんじゃないかって思います。
「ユーモアのあるような感じ」って、もしかしたら「本当にユーモアがある人」より面白いかもしれません。
桜井さんすごい。
【2011/03/21 16:26】 | ヨヲコ #- | [edit]
ヨヲコさん

いや 全力でユーモアたっぷりに書いた
つ も り で す が ね !
【2011/03/30 23:19】 | 桜井晴也 #oSfzfPCQ | [edit]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://kizuki39.blog99.fc2.com/tb.php/921-a9818fd2
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。