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誰が語られなかった者たちのためにたたかうのか

2011.09.07(23:58)

不運な女不運な女
(2005/09/29)
リチャード・ブローティガン

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 9月5日(月)

 会社にいった。いいかげんだれも九州旅行について具体的なことを決めないで、わたしにいたっては「だって俺旅行なんて当日の朝にいきさきを決めたこと以外ないぜ」と自慢話をはじめてしまうしまつで、SSくんがとうとう「役割分担を決めよう」と言った。「交通係と観光係と宿係を決めよう」。あみだくじで決めた。わたしは「観光係以外ならなんでもいいよ」と言って観光係に決まった。
 観光係になったわたしははやく帰ってガイドブックを買ってこようと思ったけれどうっかり9時まで残業しちゃったのでむりだった。


 9月6日(火)

 会社にいった。とくにおもしろいことはなかった。
 8時すぎには会社をでることができたから家に帰ったあと、観光係だからぺたぺた歩いてガイドブックを買いにいった。月を見上げながら歩いていたら電柱にぶつかりそうになった。夜には月が浮かんでいて、雨は降っていなかった。


 9月7日(水)

 会社にいった。
 会社のそとにお昼ごはんを食べにいった。SSくんはたまごかけごはんにたまごふりかけをかけて食べていた。
 来週から暇なひとになるつもりで、わたしは6月からずっとずっといそがしかったから飲み会でもやりたいなあと思うけれどタイミングがつかめない。
 九州のガイドブックを開かないままAHくんに「100ぺん読んでおいてね」と言ってわたして8時30分には帰った。AHくんは「ポケモンセンターのってないかなあ」と言っていた。「のってないよ」とわたしは開いてもいないのに言った。「知ってるよ! だからみんなのためにポケモンセンターの情報をちゃんとはさんでおくよ!」と言っていた。「うん」とわたしは言った。「うん」。
 家に帰ってからリチャード・ブローティガン「不運な女」を読んだ。ブローティガンを好きでよかった、ブローティガンを好きなわたしでよかったと思えるくらい、いとおしい本だった。


 これまでに書かれたことと少くとも同等の時間を与えられて書かれるべきだったのに、ここに書かれなかったすべてのことがわたしを苦しめる。苦しみに取り憑かれている。こうしてわたしは、ペンの一筆、またもう一筆をもって、わたしにとってのみ貴重だとしても、貴重であるには違いないことを記してこの空間を利用している。それでは誰が語られなかった者たちのためにたたかうのか。
 なぜわたしはついにやってこなかった雷雨のことを書くのに時間をついやしたのか? その時間を使って、首吊り自殺をした女性についてもっと哀れみ深く思いやりをもって、掘り下げて考えることだってできたはずなのに。
 ここに書かれていないすべてのことについては、どうしたらいい? 書いた場合でも、ほんの標ばかりだ、このことはどうしたらいいのか。



 1984年、ブローティガンはピストルで頭を撃ちぬいて死んだ。「知っていることについて書きなさい。」とこの本には書いてある。「彼女が知らないことについて書く時間は、この先いくらでもある」。
 わたしはわたしが知らないことしか書いていない。どうして、なにかを書こうとするときだれかは「自分の知らないこと」を書いてしまうんだろう。どうして、なにかをしゃべろうとするときだれかは「自分の知らないこと」をしゃべってしまうんだろう。自分の知らないことについて書いたりしゃべったりするときだけ自分であれるとすこしでも思うなら、その自分は言葉でしかないんだと思う。「自分の知っていること」は自分と関係していて、つねにいたいたしい。それを書きたくないから、きっと文章を書いているんだと思う。そういうことをしていてはまともなことは書けっこないし、自分から、自分と関係する関係のありかたから遠ざかってばかりだ。ばかみたい。




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