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ポツドール「おしまいのとき」@ザ・スズナリ

2011.09.11(22:17)

この世で一番キレイなものこの世で一番キレイなもの
(1994/10/21)
早川義夫

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 9月11日(日)

 朝からへこへこつぶやきながら日仏学院までフィリップ・ガレル「自由、夜」を見にいった。フィリップ・ガレルはわたしの知るかぎりタルコフスキー「ストーカー」の冒頭をのぞけばもっとも美しいモノクロ映像を撮れるひとで、それはあんまり美しくて退屈だからいつもいつも寝てしまう。気がついたときには主人公の夫役モーリス・ガレルは妻のエマニュエル・リヴァとわかれていて、ジェミナ役のクリスティーヌ・ボワソンといちゃいちゃしていた。ふたりが部屋のなかでむつむつしている場面でうつっているふたりの肌の色はなんだろう。薄い紙をまるめてぽいっと捨てちゃったような感触の、深い、どこか退廃的な陰影はどういうことだろう。クリスティーヌ・ボワソンが窓をきゅっきゅっと拭いている、たとえばその情景だけで世界がはっきりとたちあらわれていたように思う。いろんな映画があって、だからわたしはいろんな映画を好きになりたくて、けれどもけっきょくのところわたしがいちばん好きで、いちばん美しいと思うのはこういう映画だろう。1983年に、フランスでこういう映画があった、この映画じたいはつまらないけれどフランスでひとりの男がこういう映画を、こんなにも美しく、息をとめてしまわなけば見ることすら耐えられないラストシーンを撮った、ということをわたしはにんげんの底辺として知りつづけたい。
 下北沢までいって、ザ・スズナリでポツドール「おしまいのとき」を見た。「これはみんな好きだろうな」とわたしは思った。わたしはもしかしたらポツドールなんて、三浦大輔なんてぜんぜん好きじゃないかもしれないけれど、次の公演があったらきっとまた見にいくだろう。ラース・フォン・トリアー「アンチ・クライスト」では性器にモザイクがかかっていて、それだけじゃなく、トリアーはにんげんの顔面にすらモザイクをかけた。「おしまいのとき」がこわいのは性器にモザイクをかけられないということで、この、気だるげに悪意とときどき性器を見せつけながらセックスをして暴力をふるってばかりの役者たちは、顔に、モザイクがかかっていない。
 リアルさ、という手ざわりにおいて、舞台のうえで役者が実際に性交をしているかどうかは関係ない、性交をする場面において性器が性器にはいっていたから舞台のうえのリアルさが上昇するわけではない、たとえば小説においては性器は性器にはいることはぜったいにありえない、現実にそくしたリアルさというものがあってそれとはべつのリアルさがあって、「虚構を見にいく」という行為に現実にそくしたリアルさを求めるというのならそのことはきっとまちがっていて、まちがっていなくても、そんなのは言葉のうえのことだけだよ、あんたはたんじゅんに現実にリアルだからあんたはあんたでそれが現実にそくしたリアルで、「虚構」を見にいくというのは「あんたが知らないリアル」を見にいくということだよ、舞台のうえにはリアルしかなくって、みんなそれがいやだから「リアルさを求めている」なんて口にだしてばかりいるんだよ、というのがわたしが思っていることだと思う。だから、たとえばわたしが見たいのはきっと顔面にモザイクをかけてしまうほどのカタルシスだと思った。
 そして、なによりあぶないと思ったのは冒頭に舞台のうえでついていたテレビで、わたしは舞台を見にきたはずなのにテレビばっかり見ていた。女のひとは洗濯物をたたみながらテレビを見ていて、わたしもテレビを見ていた。もしもわたしが舞台のうえにいても、きっと、おんなしようにテレビを見ていただろうと思った。こわかった。
 管城さんとひさしぶりにごはんを食べる予定だったけれど、彼女は死んでしまったらしいのでそれがむりで、だからとてもざんねんだった。鹿児島へと旅立っていく予定だと訊いたから「黒豚1匹を買ってきてください」と言った。「むりです」と言われた。とてもざんねんだった。
 ディスク・ユニオンでよくわからないけれど早川義夫「この世で一番キレイなもの」を買っていた。どうしてだろう。わたしは「マリアンヌ」が好きなのにと思った。




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