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維新派「風景画―東京・池袋」@西武池袋本店 4階まつりの広場

2011.10.18(01:26)

デーモンラヴァー [DVD]デーモンラヴァー [DVD]
(2008/07/25)
コニー・ニールセン、クロエ・セヴィニー 他

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 10月16日(日)

 起きてうっかりぼうっとしていた。ごみのようなすごしかたをしたからわたしはごみかもしれない。にんじんのさきっちょかもしれない。
 クリーニング屋さんにいって、図書館にいった。電車のなかではジーン・ウルフ「ケルベロス第五の首」を読んだ。傑作の予感がした。傑作の予感がしたということは傑作ということで、もしも読んでつまらなかったらそれはつまらないということだと思う。かんたんなことですらわからないことがあまりにもおおくて、むずがゆかった。
 池袋のビルの屋上で維新派「風景画―東京・池袋」を見た。それは1時間30分の公演だったからわたしは1時間30分そこに座っていなければいけなかった。高いビルがたちならぶ街を前面に空の色がゆっくりと薄く、赤い光をのこしながら沈んでいった。電車の音が響き、鴉が飛びかってはまるい照明のうえに降りたち、それから飛びおり自殺をするみたいにビルのしたへと飛んでいった。そういう光景があって、そういう光景のまえで白塗りの子供たちがなにか動いていた。なにを見たらいいのかよくわからなかったからしたを向いたり、空を見たり、音を聴いたりしていた。でもわたしはしたを向いたり、空を見たり、音を聴いたりすることがうまくできなくて、うまくできないということがわかりつづけていくだけだった。おしりがむずむずしていた。向かいの高い駐車場にひとがいて、駐車場なのに立ちどまったわたしたちのほうを見ていた。わたしはあのひとたちはなにを見ているんだろうと思った。音を聴くことだけしかできないからたとえばあらゆるライブというのはひまなものだと思う。ライブにいくたびに思う。ひまなことに耐えられるひとになりたいと思った。時間があまって、仕事なんてぜんぶごみだから時間があまって、星を見るひとになりたかった。
 渋谷のシネマヴェーラにいってオリヴィエ・アサイヤス「デーモンラヴァー」を見た。ソニックユースの音はノイズだからあたりまえに耳ざわりで、カメラは不安定に動きつづけていた。たとえばラース・フォン・トリアーのカメラも手ぶれを起こして、ジャンプカットがいっぱいあるけれど、彼はそのなかで濃密な秩序をつくりあげていると思う。でもアサイヤスはそういう秩序を意識的に破壊しているように見えるほどにカメラを揺らしてしまう。いちばんびっくりしたのはディアーヌ役のコニー・ニールセンがヘリコプターから降りる場面だった。カメラはふつうに地上に降りるコニーをうつし、夜空に飛びさっていくヘリをうつし、「それが高くあがりきってしまうまえに」再びコニーをうつすショットへぐりんともどっていく。このカメラの動きがわたしにどういう気持ちを抱かせるかを理論的に説明する言語はきっと世界的には存在していないし、それを感情的に説明する個別的な言語すらわたしはきっと持っていない。たとえば監督はなぜその数秒のシーンでヘリとコニーのあいだでカメラを行き来させようと思ったんだろう。その問いが生まれるところにゆたかなものがあらわれるはずだと思う。柄谷行人が「文学者は文学批評をするしかない」というようなことを言っていたような気がするけれど、彼の言葉はそのシーンと照らしあわせることで感覚的に受けとめやすくなるようにすら思えた。
 アサイヤスはうつすものがおおすぎることを知っているように見える。そしてアサイヤス以外の映画監督はうつすものを見つけられないままにカメラを持ち、うつすものを知らない貧弱さによりかかったままにしかたなく役者に台詞をしゃべらせているかもしれない。
 書くことも同じだ。書くものを知らない貧弱さによりかかったままわたしはわたしに台詞をしゃべらせているだけだとしたら、わたしはただわたしの台詞に物乞いをしているただの乞食だ。


 10月17(月)

 会社にいった。わたしたちはまだみな濡れていた。




コメント
ジーン・ウルフはすごい人っすよ!「新しい太陽の書」四部作(その後、続編が出ましたが)は傑作です。ただし、これ、「GURPS NEW SUN」(「新しい~」のTRPG版。たぶんまだ未訳)を参照しないと分からないところがあるんです。
【2011/10/20 16:45】 | 上田洋一 #- | [edit]
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