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「フェルメールからのラブレター展」@Bunkamura ザ・ミュージアム

2012.01.30(21:42)

ピストルオペラ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]ピストルオペラ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
(2004/08/27)
江角マキコ、山口小夜子 他

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 1月20日(金)

 会社にいった。会社が終わったら同期の新年会で、奇妙なとりあわせのなかに座っていた。MFくんがあいかわらずすごくて、なにがどうすごいのかちょっとうまく形容できないけれど、すごいなあと思った。


 1月21日(土)

 朝、SSくんから電話がかかってきて「王子駅が燃えてる」と言われた。「え!」と思った。でも王子駅はべつに燃えていなかった。
 うちの会社のU課長の奥さんのピアノリサイタルいった。近くのブックオフでドストエフスキー「悪霊」が100円で買えた。
 終わったあと、HAくんは秋葉原のヨドバシカメラに向かい、SSくんは広島に向かい、わたしは渋谷へいった。この日はとくに見たい映画がなくて、ユーロスペースで鈴木清順を見ようかイメージフォーラムで「ルルドの泉」を見ようか迷いに迷ってイメージフォーラムにいったら「ルルドの泉」がはじまってからもう1時間もたっていた。あれれと思った。しかたなくモンテ・ヘルマン「果てなき路」を見た。映画監督が主演女優とむっつりになっていくという話で、女優がしっとりと湖を見ているといきなり飛行機が目のまえに落ちてくる場面でびっくりした。ガレル「白と黒の恋人たち」とはまたちがった感じの不穏さがあったと思う。話の意味がいきなりわからなくなるところもすてきだった。最後、ホテルのまわりを警官にとりかこまれ、映画監督は部屋のなかで窓のそとにカメラを向けて呆然と警官たちを撮りつづけていた。そして警官たちは監督に向かって「銃をおろせ」と言いつづける。たとえば、ゴダール「アワーミュージック」のなかでオルガはテロリストとして劇場を占拠したあと、鞄のなかから本をとりだそうとしたところを射殺された。けっきょくのところ、わたしたちはありもしない武器をとりさげることはできない。けれどなかったとしてもほかのひとはそれをあったことにして、そしてあったという現実のなかでわたしたちを射殺する。わたしたちはわたしたちが無害だということを言葉や映像によって示すことは今後もできつづけるんだろうか。そして、それすらもできないのならばたとえば「わたしはあなたを愛している」と伝えたいときにいったいどういう手段をとりえるんだろう。「果てなき路」を見ておもしろかったから、どうしようかと思ったけれどそのあとの「断絶」も見た。こっちもおもしろかった。ラストシーンがちょうかっこういいと思った。
 「果てなき路」で映画監督が部屋でエリセ「ミツバチのささやき」を見ていて、「不朽の名作だな」とぼそっとつぶやくシーンがあって、エリセを見たいと思った。


 1月22日(日)

 1日じゅう眠っていた。なにもしなかった。


 1月23日(月)

 休日出社したぶんの振替休日をとったから1日じゅう眠っていた。なにもしなかった。夜9時くらいにあまりにもなにもしていなくて、もしかしてわたしはなにかをしたほうがいいのかもしれないと思ってロイヤルホストへいって本を読んだり文章を書いたりしようと思い、シャワーを浴びて髭を剃って服を着替えて「いざ!」と部屋の扉を開けてみたら雪が降っていたのでそのまま閉めた。アパートのまわりを照らす頼りない光に雪が銀色に輝いて一瞬きれいだった。あとはもう見なかった。


 1月24日(火)

 会社にいった。なにかの仕事をした。
 7時くらいに帰ってモスバーガーへいって森山さんところのアンケートを書いていた。アンケートにしても、日記にしてもそうだけれど、映画や本についてならなにかを書こうと思えば書けるような気がするけれど、それ以外の、日々のできごとだったり、わたしがたんじゅんに思ったことだったり、というのは、ほんとうになんにも書くことがなくて、それは、何千冊の本を読んだり何千本の映画を見たりすることよりもずっとずっとまずしいことなのかもしれないと思ってがっかりした。
 水村美苗「本格小説」で、30歳くらいになってよう子が「わたしにはなんにもない」と言ってきゅうに不安を漏らしていたけれど、たとえばそういうとき、どうやって耐えていけばいいんだろう。


 1月25日(水)

 会社にいった。
 7時くらいに帰った。


 1月26日(木)

 会社にいった。SSくんが会社にもどってきたから「広島はどうだった?」と訊いた。「土曜日の夜11時くらいについて、どこもしまっていたからネカフェにいった」とSSくんが言った。「うん」とわたしは言った。「12時間パックで泊まった。ほんとうは朝早くでたかったけれど、12時間の誘惑に耐えられなかった」とSSくんが言った。「あ。ちがう。延長しちゃったから14時間くらいいたんだ」と言った。「宮島で2時間くらいベンチに座って海を見ていた」と言った。「夕飯まで時間があったからパチンコへいったら負けた。それで夕飯に広島風お好み焼きを食べたかったけれど負けたから食べられなかった」と言った。「それで?」とわたしは言った。「ネカフェに泊まってまた延長して、帰ってきた」と言った。好きなひとに舐めさせると恋いがかなうという飴をもらった。いらんなあと思った。
 7時くらいに帰って、ドトールでアンケートを書いたりして帰った。わりとさいきんできたベックスが最初は夜10時までやっていたのにいつのまにか9時までになっていた。もうなにかをあきらめやがったと思った。会社のひとに会う確率が比較的高いにもかかわらず何度かかよっていたのは夜10時までという利点があったというだけだったからたぶんもう一生いかない。


 1月27日(金)

 会社にいった。7時くらいに帰った。おでんを食べた。おいしい。


 1月28日(土)

 命のかぎりをふりしぼって瀕死になりながら朝の7時30分に起きて、納豆ごはんを食べて、シネマヴェーラまでいって、上映権がきれるらしく日本最終上映らしいキム・ギヨン「下女」を見にいった。こんな50年くらいまえのわけのわからない韓国映画を見にくるひとなんて10人くらいだろうと思ったらまさかの満席で立ち見まででていたからなんか気持ちわるかった。映画はおもしろかった。むかしの映画の語り口というのは紀元前のギリシャの演劇をまったく簡略しきったようなすばらしいものだなあと思った。あとは階段から落ちた女のひとのポーズと迫力がすばらしかったと思った。
 いつのまにか改装が終わっていたBunkamuraザ・ミュージアムでいつのまにかはじまっていた「フェルメールからのラブレター展」を見た。フェルメールじたいとくに好きだというわけでもなく、だいたいどの絵もちいさくて日本にくるとひとがたかっていて近くで見ようとするとうんざりしてしまうのでわりとすどおりしてきた。今回の3枚の絵のなかでいちばんよかったのは「手紙を書く女と召使い」で、窓から射す光によってくぎられたカーテンの明暗がきれいだと思った。ほかの絵については洋服を見ていた。たとえばヤン・ステーン「アントニウスとクレオパトラの宴」なんか、クレオパトラの下半身だけをじっと見ているとそれが神々しいほどに黄金に輝いていてすごくきれいだと思った。絵を見たときに思うリアルさの現出は現実のものとはちがうと思った。どの絵のどの洋服もどの靴も、たとえどんなにリアルに描かれていたとしても、現実のそれとはちがった存在のしかたをしていた。絵は2次元で現実でわたしたちが見るのは3次元だ。リアルな絵を見たときでもわたしたちがそれを現実ととりちがえることがないのは絵が平面でしかないからだ。でも、きっとわたしたちは絵を見るのになれすぎてしまっていて、その絵が写実的であればあるほど現実にそくした言いかた以外をうまく言うことができない。ピカソの絵について「わけがわからない」と思いがちなのは絵を現実的な光景と比較して考えるしかわたしたちが絵の見方を知らないからだと思う。そして、絵を見ることをとおしてなにかを見ようとするときわたしたちは決して絵を見ることはできない。「この作品を通して表現したかったことは?」という問いはあたりまえのようになされているけれど、作品じたいが表現であるはずだった。表現とは、感覚や気持ちであるはずだし、すくなくともわたしはわたしの世界のなかではそうあってほしいと思う。
 池袋のハイマートで日記を書いたり「悪霊」を読んだり、窓のしたに見えるたいやき屋さんにむらがるひとの大群を見たりして時間をつぶして、新文芸坐で鈴木清順「オペレッタ狸御殿」、「ピストルオペラ」を見た。チャン・ツィイーがはじめに片言の日本語でしゃべっていたのに途中からすべてをあきらめたように中国語になったのがかわいかった。あとはよくもまあいい歳してこんな映画を撮れるなあと思えて好きだった。あるいはそれはロメール「アストレとセラドン」に似ているのかもしれない。やっぱり似ていないのかもしれない。「ピストルオペラ」はわたしはすごい好きだと思った。それはやっぱりブーツに黒い和服を着た江角マキコがちょうかっこういいと思えるからで、生まれてはじめて江角マキコになんらかの感情を抱いたように思った。かっこういいなあ、かっこういいなあと思っていた。




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